女のプライド
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ビクビクとしている。
そんなレアを見てユウキは不思議そうに首をコテンと横に傾けた。
「レア、どうしたの?猛獣に食べられる直前の小動物みたいに震えて」
天然なのかは知らないがユウキ(猛獣)がレア(小動物)にプレッシャーをかけ始める。見た目は逆だろうに。
レアが若干涙目になりながら俺に目線で助けを求めてくるが普通にスルーをしておく。
そんな俺にフォローはもらえないと悟ったレアはゆっくりとユウキに向き直ると、言ってはいけないことを言ってしまった。
「も、もう一度抱き着けばいいじゃない」
その言葉を聞いたユウキは頬を赤くする。その様子を見たレアは安堵で息を吐くが、それは悪手だとなぜ気づかない。
「は、恥ずかしいって言ってるよね!?」
レアの肩を掴んで前後に激しく揺すり始めるユウキ。羞恥と若干の恨み。そして、ユウキの敏捷とある程度の筋力が合わさったユウキの'じゃれ'はレアの頭を前後にガックンガックンと揺らした。……あれは酔いそうだな。
まあ、わざわざ地雷を踏みに逝ったレアが悪い。
「ユウキ、レアが死ぬぞ」
とはいえ、このまま続けさせるとレアの実力的に死んでしまうので、声をかけてやめさせる。
「うー……顔から火が出そう」
レアを離したユウキは俺から顔を逸らしながら焚火の前に座り込んだ。それにしても……初だよな。詩乃もそうだが。
「……ん?どうした?レア」
鍋を見つめながら詩乃について考えていると、レアが口を押さえて立ち尽くしているのが目に入った。
「……気持ち悪い」
「揺られ過ぎて平衡感覚が狂ったか」
戦いの訓練をしていればそれなりに鍛えられるはずなのだが……レアには耐えられる速度ではなかったみたいだな。レアの頭で残像ができていたし、仕方がないのかも知れない。
「……平衡感覚ってな……うっ……」
――しばらくお待ちください――
「……もうお嫁に行けない……」
「大丈夫?ほら、タオル」
口を濯いだレアが地面に突っ伏している。ユウキがかいがいしく世話をしながら慰めてるが、その原因を作ったのは自分だということを忘れてないか?
「……そろそろ出来るぞ」
目撃したのは俺とユウキだけ。ならば黙っていれば問題ないだろう。今はさめざめと泣いているレアも、腹を膨らませて一晩寝れば多少は薄れるに違いない。
レアが俺の作った料理を食べて流す涙の量が増えたのは別の話。
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