明日への翼
04 RHAPSODY
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……」
胸に手をあてて祈るように瞼を閉じていた。
「幸せなんだね」
「それは保障するわよ。傍で見ていて悔しいってか背中が痒くなるぐらい」
「そっか……そっか、そうよね、あの二人は幸せにならなくちゃ……」
涙が頬を零れていく。
腕で流れ落ちる涙を拭う。
「幸せなんだ、螢ちゃん、ベルダンディーも。よかった。ほんとに……よかった」
何もそんなに泣くことはないだろうと思えるほどだ。
もちろん決して恥ずかしいことではない。
大切な兄のことがわかったのだ。今はとても幸せだと。
「うん、でもね。これは恵と仙太郎だから話したんだよ。他の人には内緒でね」
「わかった約束するわ」
よく教えてくれたわね。恵はスクルドの手をしっかりと握り締めた。
「ううん。シーグルとばんぺいのことほんとにありがとう。恵の細かい気遣いがなかったら今までもたなかったと思う」
「あたしは駆動音がちょっとおかしい時に教えてあげていただけよ」
「それがなかなか出来ないのよ」
初めて出会った時にはいがみ合うだけだった二人が今はこうして手を取り合っている。
不思議なものだ。
スクルドは仙太郎に向き直った。
「あのね仙太郎」
「ん?なに」
「……ん、なんでもない」
数日後の猫実南高校である。
朝礼。
仙太郎は、担任の教師が連れてきた「転校生」をみてあっけに取られてしまった。
「こんな時期になんだが、転校生を紹介する」
黒板に「Skuld Norn」と横書きした。
「転校生のスクルド・ノルンさんだ。日本語は堪能なので臆さなくてもいいぞ」
腰まであった艶やかな黒髪をうなじでばっさりと切ってショートカットにしていた。頬と額の紋章はそのままだ。後になって気がついたのだが、額と頬の紋章は仙太郎以外の者には見えていないようだ。
スクルド曰く。
仙太郎にはそのままに私を見ていて欲しいから。
「はじめまして、スクルド・ノルンです。故あって今は川西仙太郎さんのところでお世話になってます」
どよめく教室内。
「仙太郎とは幼馴染で将来を誓いあった仲です」
室内が騒がしくなった。
思わず立ち上がる仙太郎。
「ちょっ、ちょっとスクルド!」
「なに?」
「みんなの前で言わなくても」
「え?いけなかった?「ずっとそばにいて欲しい」って言われたからあたしはここにいるんだよ。長かった髪も校則にあわせて短くしたのに」
むしろ驚いたような眼で仙太郎を見詰め返していた。
どっとばかりに沸く教室内。
騒ぎが治まらないので担任が一喝をした。
「いろいろと複雑なようだが個人的な話は学校の外でやってくれ。ここは勉学の場だ」
それ以外のものは持ち込むなと。
ここまでばっさりだとむしろすがすがしいものがある。
しかしなが
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