明日への翼
04 RHAPSODY
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」
「いや……いいよ」
「まあしばらくそんな気になれんだろうな」
もっともらしく頷くと、ぽんぽんと肩を叩いた。
下駄箱から教室に向かう。
軽い朝礼を終えて普段の授業に。
スクルドはステルス状態のまま教室の後ろの黒板にもたれて授業の光景を眺めていた。
内容としては初歩もいいところだけれど、こうして集団で講義を受けるのを見るのは興味深かった。
後ろから見ていると携帯で内職をしている者や漫画を読んでいる者などなかなか生徒たちも一癖あるものが揃っている。
もちろん義務教育ではないのでついてこられない奴や来る気のない奴には優しくはないわけだ。
大好きな仙太郎はと見るとこれがかなりまじめに授業を受けていた。
終わって休み時間。
どうやら次は男生徒と女生徒に別れるらしい。
体育の授業のようだ。男生徒が奇数クラス、女生徒が偶数クラスで、別れて着替えるようだ。ここは一組だから二組の男生徒がなだれ込んできた。
慌てて廊下に出た。
走り幅跳びにハードル走、百メートル走。
順番を待つ中で仙太郎の視線はスクルドに向いていた。
もっとも、端から見るとスクルドは見えないので、仙太郎がぼんやりとしているとしか見えないんだけれど。
仙太郎の百メートル走。
スタート。
へぇ……早いじゃない。
スクルドは嬉しそうに彼を見ている。
走り終えた彼に女生徒が親しげに仙太郎に声をかけていた。
男生徒と女生徒は別の授業だが、校庭は地続きなので不可能ではない。
なんか、ひどくなれなれしい態度に、スクルドはちょっとむかついていた。
洋子ではない。仙太郎がフリーになったのを知って早速、ってわけらしい。確かになかなかもてるようだ。
そんなことスクルドが知るはずがない。
心なしか他の女生徒からも彼が注目されているように感じた。
なんだか非常に複雑であった。
腕を胸の前で組んで首を少し傾け、しばし何事か考え込んでいる様子。
しばらくそのままでいたが、転移術でいずこかへと姿を消した。
「わぁ……変わってないなぁ」
久しぶりに訪れた他力本願寺は、スクルドが地上界を離れた時のまま、時の流れに取り残されたように感じた。
どっしりとした正面の山門は相変わらずの風格を見せている。
ふわりと、山門の前に降り立った。
境内に入ると本堂と鐘撞き堂、母屋。
とても綺麗に整理されていた。
あの頃と少しも変わっていない。
もちろん理由があって。
「ばんべい、シーグル!」
懐かしい名前を呼んでみた。
裏庭の植木の剪定をしていたらしいばんべい君は乗用モードに変形して走りよってきた。ぴかぴかと眼を赤く点滅させながら、悲鳴のような電子音を響かせて馳せ参じてきた。
続けてシーグル。少しくたびれ
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