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ああっ女神さまっ 〜明日への翼〜
明日への翼
04 RHAPSODY
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郎の家は、4LDK、一階は茶の間と夫婦の寝室。二階に六畳間が二部屋。バス、トイレ、キッチン、玄関。立派な庭付きの一戸建てである。二階の一部屋は仙太郎が使っているけれど隣の部屋は使う者がいない。
 子供は二人ぐらいと両親は考えていたらしい。この家を建てる時にもそのつもりで間取りを取ったのだが、結局のところ長男が高校生になっても子宝は授からないまま今に至っていた。
 二階の仙太郎の部屋の隣に案内する。
 六畳一間、南向きの明るい部屋だ。押入れがあるだけの何もない部屋。長く使われていないのか、うっすらと埃が積もっていた。
「ここを使ってね」
「ありがとうございます、お母様」
「女神様が住むには少し手狭かもね」
「いいえ、そんなことないわ。素敵なところじゃない」
「そう?かしら」
 スクルドはにっこりと笑っている。
「はい、ここには優しい心がいっぱいだもの。「想い」は物に宿るんだよ。この家の柱にも壁にも家族が互いを想いあう「気持ち」が染み込んでるわ」
 静子はくすぐったそうに微笑んでいた。
「まずはお布団を用意しなくちゃね。階下(した)からお客さん用の持ってくるわね」
「いえ、大丈夫よ。原子を再構成して作り出すから」
「はい?」
 意味がわからなかったらしい。
「見てて」
 両腕をささげるように前に突き出すと、上を向いた掌のすぐ上の空間に光の球が現れた。
 キイーーーーーーン
 光の球が形を変えて畳の上にわだかまる。光が薄れたとき、一組の夜具と枕が綺麗に折りたたまれて畳の上にあった。
「はあ……凄いわねぇ」
「こんな大きな力は日に何度も使えないけどね。今のあたしの力はものすごく制限されているから」
「制限って、それじゃ不便じゃないの?」
「不便……なのかな。よくわかんない」
 女神たちにとって「物欲」はあまり縁がないものだ。
「今のあたしにとってはそんな「不便」よりも仙太郎のそばにいることが大切なの」
「あなた、仙太郎のことを」
「大好きだよ。「そばにいたい」って思ったのは仙太郎だけじゃないの。仙太郎がいなかったら、あたしはまだきっと二級神のままだった。仙太郎がいたからあたしは今こうしてここにいるの」
「そうなのね」
 二人でいることはこの女神のスクルドの望みでもあったのだ。
 それよりも、と続けた。
「お風呂入りたいんだけど」
「え?」
「あたし達女神は一日一回の沐浴──入浴を義務付けられているのよ」
「いいわよ。階下の廊下の突きあたりの右のドアだから。使い方はわかるわね」
「ありがとう」
「あ」
 部屋を出ようとすると、今まで孝雄に捕まっていた仙太郎が階段をあがってきた。
「また後でお話しようね」
「う、うん」
「二人ともいいかな」
 静子が間に割って入った。
「あなたたちが今後
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