曙光
遠征準備
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「アムネリス母子が無事な事は、良くわかった。
中原全体に及ぶ事項に関し、カメロン殿と話をせねばならぬ。
真夜中故に当然、御就寝中であろうが已むを得ぬ。
不躾ながら即刻の面談を所望する、と伝えてくれ」
年寄りを邪険にしおって、等とブツブツ呟く闇の司祭。
グインに睨まれた黄金の骸骨が神妙な表情を繕い、口を噤む。
「かしこまりました」
上級魔道師エルムは無関心を装い、丁寧に一礼。
魔道師ギランに遠隔心話を飛ばし、カメロンに報告させる。
イシュタール北方、クリームヒルドの塔に快男子が現れた。
「グイン殿、貴方と再びお話が出来るとは!
これこそ、ドライドンのお恵みですな!!」
「一別以来だが、お変わりは無いか?
壮健そうで何よりだ、御無礼の段は平にお詫びを申し上げる」
広大な大洋を照らし出す海路の日和、輝く太陽の微笑が溢れた。
「何が壮健ですか、この憔悴し切った顔を良く御覧下さい!
面倒な雑務を押し付けられて、眼が廻っておりますよ。
海が恋しい、一介の船乗りに戻る夢を何度見た事か。
こんな内陸の国なぞ放り出し、脱走して海に出たい。
そんな思いが募り、鬱積して毎日悶々としておったのですがね。
元ユディトー伯爵ユディウス・シンを説得してくれて、助かりましたよ。
ユラニアの誇る軍師殿を送り込んでくれなければ、本当に逃げ出していたかもしれない。
パロの魔道師も派遣してくれて助かりました、貴方は新生ゴーラ王国の大恩人です。
オリー母さんが傍に居てくれれば、アムネリスも落ち着くでしょう。
イシュトが面倒事を引き起こしてるんじゃないか、と心配なのですがね。
ダーナムで戦った後の状況が掴めず、気を揉んでおりました」
猫族の丸い瞳がトパーズ色に煌き、誠実な鋼鉄の瞳を覗き込む。
「イシュトヴァーンは夢の回廊、黒魔道の術に不意を突かれ負傷した。
生死に係わる程ではないが当分の間、大人しく寝ている他は無いと思われる」
グインは言葉を飾らず、状況を簡潔に告げる。
カメロンは鋭く息を呑んだが余計な口は挟まず、次の言葉を待った。
「アモンと名乗る黒魔道師が異常に強力な術を用い、クリスタルを制圧している。
カメロン殿も密偵により御存知の事と思うが、パロでは常識の通用せぬ事態が起こった。
竜の門と称する黒魔道師、怪物が現れ無辜の民を餌食としている。
元凶は遙か東方の大国、世界征服の野望に取り憑かれた魔道王だ。
俺は嘗て死の砂漠ノスフェラスを超え、キタイに赴いた。
旧都ホータンが無残に喰い荒らされ、人々の蹂躙される有り様も目の当たりにしている。
キタイの民も親兄弟を喪い深く傷付き、パロを上回る惨状の中で苦痛に喘いでいるが。
希望を棄てず家
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ