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豹頭王異伝
曙光
遠征準備
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が。
 貴方は無用な世辞の交換、くねくねと曲がりくねった遣取りを好む方ではない。
 煙とパイプ亭では僭越ながら、タヴィアさんに助言させて貰いましたが。
 沿海州の有象無象共を黙らせる汚れ役、憎まれ役ならば喜んで引き受けますよ。
 他に思い付く事は無いが何であれ、友の役に立てるのであれば本望です」
 海の漢は一言ずつ区切り力と心を込め、落ち着いた口調で断言してのけた。

「感謝する、提督。
 中原を狙う黒魔道の蠢動を断つ為、キタイを牛耳る竜王の勢力を退治せねばならぬ。
 パロ解放は前哨戦に過ぎず、竜の門が敷く圧制を打破せねばならぬのだが。
 キタイへ赴くには、ノスフェラスを踏破する事になる。
 アルド・ナリス殿とも話し合ったが、兵站の維持は困難だ。

 古代機械と云えども、1度に転送可能な人員は僅か数人に過ぎぬ。
 竜王の軍勢を破り、キタイを解放するに充分な兵力とは成り得ぬ。
 奇怪な魔力を振るい黒魔道を駆使する輩、竜の門を破る事は出来ぬだろう。
 キタイの商人は遠路遙々、ノスファラスを経て中原を訪れる様だが。
 古代機械の転送、陸路以外の補給手段は欠かせぬものと思われる」
 元ヴァラキアの提督カメロンは話の行く先を察し、理解と納得の色を顔に昇らせた。

「なるほど!
 噂に聞く謎の古代機械は使えず、陸路は駄目。
 となれば残るは海路しかない、と云う訳ですか。
 確かにグイン殿の御手を煩わせるのは合理的じゃない、私が口を挟む余地は有る様ですね」
 我が意を得た、と云わんばかりに大きく頷く黄金に黒玉の戦士。

「流石は提督、御明察だな。
 実に迅速なる思考回路、明晰な洞察力をお持ちだ。
 沿海州諸国、キタイ商人の既得権益の侵害と唱える妨害工作も予想されるが。
 カメロン殿こそ、東方航路の開拓をお頼み出来る稀有の人材と思われる」

「年寄りをおだてた所で、何も出ませんってば!
 全くもう、貴方はとんでもない面白がり屋ですな!!
 私にも段々、わかってきましたよ。
 表情を読ませぬ御顔の奥底には突拍子も無い、えらく捻繰(ねじく)れたユーモア感覚が隠れている。
 様々な物事を密かに諧謔(おちょく)って喜び、大いに楽しんでおられるのだと。
 或る意味、イシュトと同じだ。
 無表情の仮面を被り、喜んでいる悪戯っ子の魂が透けて見えますね!」
 英雄の種族に属する超戦士、海の漢が豪快な笑い声を共鳴させた。

「パロ魔道師20名は、キタイ偵察へ赴く際に海路を選んだ。
 魔力を用いた快速船で海を渡り、怨霊海岸に上陸したと聞く。
 ホータンに向かう途中で彼等は敵に襲われ、パロへの帰還は叶わなかったが。
 志半ばで仆れた魔道師達の魂魄は地縛霊と化し、キタイの地に残留している。
 キタイの魔都フェラ
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