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豹頭王異伝
曙光
嵐を呼ぶ男
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噴き出す!
 グインが、戦う!!
 グイン、グイン、グイン!
 豹頭王、グイン!!

 王を呼ぶ声、響けば、王は必ず、応える!
 赤い炎を突き抜け、其処《そこ》に現れる!!
 平和を壊す敵は、此《こ》の手で叩き潰す!
 それが、王の使命!!
 それが、王の願い!
 無敵の武器を掲げ、鍛えた剣技《わざ》を揮い、倒せ、火を吐く大怪獣!!
 世界の平和を護る為、暗黒魔人をやっつけろ!

 白い砂漠の真ん中に、今日も嵐が吹き荒れる!
 掟《ルール》無用の悪党に、正義の拳《パンチ》をブチかませ!!
 草も樹《き》も無い、死の谷《グル・ヌー》に、恐怖の罠が待っている!
 白い天馬に跨《またが》って、王者の剣を振り翳《かざ》せ!!
 妖気渦巻く戦場《ジャングル》に、吼える野獣の無法者!
 縞の長衣《ガウン》を翻し、奴等の牙を折ってやれ!!
 月に代わって、お仕置きじゃあああっ!
 フハハハハ、(半音上がる)ハハハハハハハハ!!」

 髑髏の顔を持つ筋骨逞しい金色の超人、銀色の杖を揮う英雄の哄笑が響き渡る。
 黄金に黒玉を鏤めた巨大な蝙蝠《バット》が現れ、ニヤリと笑う。
 鉄壁の自制心を開錠する魔法の呪文、鍵《パスワード》が含まれていたのやもしれぬ。
 グラチウスの催眠術、宇宙空間の幻影を震撼させた裏技。
 頭の中の次元が砕ける程の爆笑、凄絶な轟音が弾けた。

 豹頭王を身体の奥底から湧き起こる衝動が掌握、笑死寸前に至り息も詰まる。
 数タルザン後に漸く哄笑の渦が鎮まり、髭を震わせながら声を絞り出す。
「新手の超心理攻撃だな、グラチウス!
 呼吸が続かぬ、俺を殺す気か!!」

「この程度で、己の息が止まる訳は無かろ?
 王は外見からは全く理解出来ぬ程に途方も無い、ひねくれた面白がり屋だ。
 ぬしの腹心、ハゾス・アンタイオスも云っておったぞ。
 ヤーンの如き凄まじい感覚《センス》、ユーモアの持ち主と」

「貴様の話に耳を傾けておれば、あっという間に数千年が経過してしまうな。
 上級魔道師エルム殿、大いに安心した。
 魔王子アモンの気配に留意し、怪しい兆候を感知したら通報してくれ。
 イシュタールに手を出す余裕は無い、と踏んでいるが逆に裏を取るかもしれぬ。

 キタイの竜王も後催眠の術を用い、イシュトヴァーンを操る気配を見せた。
 夢の回廊を完璧に遮断する術は無く、再度の精神攻撃も起こり得る。
 アムネリス王妃、誕生直後の王子が黒魔道師に狙われるやもしれぬ。
 王族の誘拐を企み、キタイに拉致した輩も眼の前に居るからな」

 猫族の瞳を細め、雄弁に横目で一瞥。
 黄金色に輝く髑髏は長い舌を突出し、笑いを誘う仕草で応えるが。
 無表情《ポーカー・フェイス》を貫く豹頭王の仕打ちに、ガッ
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