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豹頭王異伝
曙光
従者と侍女
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 豹頭王は両膝を床に付き、土下座した。
 王妃付の侍女が顔色を変え、動転し悲鳴を上げる。
 牛を思わせる大男、パリスも眼を丸くした。

「そんな、王様!
 お顔を上げてください!!
 いいんです、私は慣れてますから!
 素敵なお友達も出来て、本当に感謝しています!!

 パロの魔道師様が来て下さるまでは、誰も助けてくれませんでした。
 何で私だけが貧乏籤を引かなければならないのか、ずっと恨んでいました。
 でも、何もかも良くなりました。
 ディラン様が宰相ハゾス閣下、アキレウス大帝様にお話して下されたお蔭です。

 私も過分なお褒めの御言葉を頂いた上、今までの苦労賃と申し訳無い程の心付けも頂戴しています。
 王妃様の悪口を言触らし辛く当たっていた意地悪な女官達は全員、交代の上罰を受けました。
 シルヴィア様の専任として他の仕事は全て免除され、充分な休憩休息を頂いています。
 ヴァルーサさんに踊りを習い、愚痴を聞いて貰えるので精神状態も良くなりました。
 
 勿体無い程に分不相応な処遇をして頂いて、とても感謝しています。
 御礼を申し上げなくてはいけないのは、私の方です。
 魔道師様が来て下さったのも、王様が、パロをお救いになられた故とお聞きしています。
 本当に、ありがとうございます。

 畏れ多くも大帝アキレウス様から直々に、娘を宜しく頼むと御言葉をいただきました。
 王妃様の姉君オクダヴィア様も、私の代わりに辛い思いをさせたと涙を流して下さいました。
 私も心を入れ替え、出来る限りの事をさせていただきます。
 シルヴィア様にお幸せになっていただく為、お勤めを果たします。

 私の事は、気になさらないでください。
 王様から直接お褒めいただいただけで、身に余る程の光栄でございます!」
 平伏する侍女、クララの頭上に。
 豹頭王の本音、とも思える幻の声が響いた。

「誠に済まぬが宜しく頼む、ハゾスには給付を倍にせよと伝えておく。
 お蔭で多少安心出来た、可及的速やかに決着を付け黒曜宮に戻る心算だ。
 シルヴィアは手強いと思うが、何とか面倒を見てやってくれ。
 他に頼れる者は無い故、当分の間、パロの魔道師に常駐を御願いする。
 俺がサイロンへ戻れば、おぬしらにも交代で休んで貰う余裕が出来るだろう。
 それまでの間は辛いと思うが、相手になってやってくれ」

 グインの目配せを受け、闇の司祭が頷く。
 平伏する従者と侍女の視野から、幻影が消えた。


「もう、良いじゃろ?
 木っ端魔道師も、時には役に立つ。
 売国妃が一旦ケイロニアに破滅を齎すかどうかは、わしの口からは言えぬがね。
 王が付き添っておらずとも、問題はあるまい。
 放っといても構わん、シレノスの貝殻骨
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