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豹頭王異伝
薄明
心の鍵
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(グインの《洗礼》を浴びた際、中継装置となった全員の魔力が飛躍的に強化されました。
 他の魔道師達も豹頭王直属の班と順次、交代させ《特訓》の準備を整えます)
(アムネリスとは婚礼の最中に暴漢が乱入して、意識を喪った後は会っていないが。
 イシュトにもう一人の子供が居るとなれば、私にも他人事ではないよ。
 横目で私の様子を窺ったりせずに、ゴーラ王の治療に専念し給え。
 傷の深さはどうかね、生命に別状は無いのだろうね?)

(…全く、問題ありません。
 ナリス様が決闘の茶番で、アウレリアス子爵に刺させた傷みたいなもんです。
 この悪党が此の程度の傷で、大人しく永眠する訳ありませんよ。
 いっその事このままくたばってくれれば、中原は随分と平和になるんですがね)
(了解した、イシュトは古代機械に預ける。
 ティオペの秘薬と間違い、毒殺の可能性も否定出来ないからね)

(冗談ですってば!
 放っといたって死にゃしませんが、ちゃんと面倒みますよ!!
 わかってるくせに一々、茶々を入れんでください!
 このまま眠らせといた方が楽だと思いますが、この旦那は生命力が有り余っていると見える。
 覚醒すれば傷が痛むと癇癪を起こして騒ぎ出し、面倒な難癖を付けるに決まっているんだが。
 厄介な事に自力で意識を取り戻し、喚き始めそうな塩梅ですね)

(君の言い分は良くわかった、イシュトと言葉を交わしてみたい)
 仏頂面の魔道師が接触心話の送信を停止した瞬間、血の気の失せた白い顔に動きが生じる。
 ゴーラ王の長い睫が動き、ナリスに良く似た漆黒の瞳が現れた。


「あ…。
 ナリス様?
 俺…痛っ!
 ぐぁっ、何だ!?
 腹が、くそ、スカールがまた出やがったかっ!
 あ痛っ!」

「イシュト、心配は要らない。
 そなたは黒魔道の術に惑わされ、自分で自分の腹を刺してしまったのだよ。
 暫くの間、動かない方が良い。
 結界を張ったから、これ以上の攻撃は無いと思うよ。
 私の言う事が、聞こえているかね?」

「催眠術、だって?
 なんてこった!
 今のは、みぃんな、夢だったってのか?
 くそ、とんでもなく厭な夢を見たもんだぜ。
 あれが、黒魔道の術だと?
 あぅっ!」

「体に力を入れてはいけない、傷口が開いてしまう。
 応急処置はしたが、そなたが気を失うと面倒な事になる。
 私とそなたの関係を承知しているのは、忠実なマルコ1人だからね。
 今そなたに気絶されると、面倒な事になる。

 君の忠実な部下達が激高して、私に斬りかかって来るかもしれない。
 彼等は黒魔道も催眠術も知らぬ、説明しても無駄だ。
 深傷を負った君の傍に侍る私が、下手人に違い無い。
 弁明など何の意味も持たぬ、としか考え
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