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豹頭王異伝
薄明
謎の病状
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(ナリス様、上級魔道師アイラスの報告が届きました。
 スカールとベック公はサラミスに到着、古代機械の《説得》が必要です)
 ヴァレリウスは無粋な割り込み、心話の送信を咎められると予測。
 戦々恐々で首を竦めたが、非難の思考を浴びる事は無かった。

(わかった、想定の範囲内だね。
 古代機械には《ファイナル・マスター》、グインから《命令》して貰う。
 ギールに遠隔心話を飛ばし、事情を説明させる様に。
 グル族は、どうしている?)
 命旦夕に迫る草原の黒太子を救う為、心話に応え確認の思考が閃く。

(ベック公の誓約に草原の民は信を置き、騎馬で移動を開始中です)
 アルド・ナリスも流石に、状況は弁えている。
 お気に入りの盟友、イシュトヴァーンに向けた笑顔には微塵の変化も無い。
 パロ魔道師軍団の暫定指揮官、第一発言者は胸を撫でおろした。

(サラミスに私、ファーン、スカール、古代機械が揃う訳だね。
 レムスを操る竜王、魔王子アモンが何か仕掛けて来るかもしれない。
 魔道師は全員サラミスに移動、結界を張って貰う。
 ゴーラ軍を放置するのは気が進まないが、古代機械は頭が固い。
 公開可能範囲を超過、と言い張り我々を追い出すだろう。
 サラミスに留まり、結界を張る時間は数タルザン程度の筈だ。

 古代機械は、グインと話をしたがっている様に感じられるのだが。
 自分から進んで連絡を取る事を、禁じられているらしい。
 私に《ファイナル・マスター》と連絡を取れ、と言わせようとしているふしがある。
 擬人化し過ぎているのかもしれないけれども、ヨナがどう判断するか聞いてみよう。
 君に手抜かりは無いと思うが、グインに連絡の際は敵方の盗聴を警戒する様に。

 イシュトと楽しく話をしている時に限って、連絡が届くのは気のせいかな?
 一度じっくりと説明して貰うよ、覚悟しておきたまえ)
 ナリスが楽し気な思考を閃かせ、ヴァレリウスを閉口させた数タル後。
 パロ随一の策謀家は爽やかな笑顔を盟友、ゴーラ王に見せ言葉を継いだ。

「万一レムスが奇怪な黒魔道を仕掛けて来ても、私が眼を光らせている。
 何かあれば直ぐに起こすから、イシュトも充分な睡眠を取った方が良い。
 鍛えられた貴方が2晩や3晩、徹夜した処で何とも無い事は良くわかっているが。
 相手は思考を掻き乱し意志を奪う精神寄生体、催眠術を操る黒魔道師の類だ。

 頭脳を最高に冴えた状態に保っておかないと、惑わされてしまうよ。
 私も、人の事は言えないがね。
 混乱させて実力を発揮できぬ様に仕組むのが、黒魔道の常套手段だ。
 帝王たる者、信頼する部下の助言は素直に聞くものだよ。

 己の進言が採用されるのを見れば、人は感激して自分から進んで献身的に働い
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