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根上碧海さんは魔王になりたい!
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い事もないけど?そうね、もし遊んで欲しかったら私とこれから集まるメンバーにジュースを奢りなさい、いいわね?じゃないとやっぱり遊ぶのやめるから」
 彼女に傲慢な態度を突きつけられても、引き下がれなくなった萩島は深々と頭を下げる。
「はい、分かりました、喜んで奢らせて頂きます」
 実のところ、ここまで彼女の思惑通りである、彼女は長年一緒に居る幼馴染を知り尽くしている為、彼は彼女に従わざるを得ない。そしてそんな事にも気づかす、お馬鹿な萩島君は言われた通りにメンバーをなんとか集め、そして全員にジュースを奢ることになった。

 萩島夕魔には何人かの友人が居た、一人は元野球部の鳥知也氏、元野球部といっても入部して三日も経たないうちに辞めてしまった為に、ちょっとだけスポーツ少年っぽくなった残念な人である。もう一人は、図書委員の槇原幸歩さん、彼女は眼鏡っ子で、そこそこに整った顔立ちをしていてとても心優しい性格をしている一方で、天然キャラと見せかけて実は狙っている、とか、黒い一面が少なからず存在している人だ。萩島は手始めに鳥を尋ねる事にした。いつもは賑やかな廊下だが、今日は何故か面白いくらいに誰も居ない廊下を通って、鳥の教室まで走る。走りながら、ポケットからメモ帳とペンを取り出しながら。教室のドアの前に立った萩島は勢い良くドアを開け放つ。
「――鳥っ!鳥は居るかーっ!?」
「おおっ!萩島!どうした?何か用かー!?」
 萩島の叫ぶ声に、教室の隅の方から声が上がった。
「おぉー、居たかーっ、一つ頼みがある!」
 萩島は、掃除後でそれなりに整った教室の座席を目でなぞり、鳥が居る場所を見つけると、歩きながら言った。鳥は真剣な表情で返事をし、鞄を肩にひっかけて萩島の近くまで歩いた。
「萩島、頼みごとって何だ?」
 真剣な表情の鳥に向かって、萩島は頭を下げた。
「お前の飲みたい物は何だ?」
「はあ?何だよ?奢ってくれるのか?」
「おう、そうだ、その代わりの頼みだ!」
「何だ!言ってみろ!」
「根上のTRPGに付き合ってやってください!」
「TRPG?」
 ここまでテンポ良く進んできた会話に黒い雲の陰がよぎった、もしかしてお前、TRPG嫌いだった?と聞き返す萩島に、鳥は眉を吊り上げながら答える。
「――いや、面白そうだとは思うけど、何だって根上の奴、TRPGなんて始めようと思ったんだ?」
 それはこっちが聞きたい事だ!と返した萩島に、鳥は笑いかけながら言う。
「――分かったよ、根上の教室に行けば良いのか?どうせ暇だし、付き合っちゃるよ」
「本当か?ありがとう!そう、根上がきっと教室で準備してる筈だから、よろしく!」
 おう、了解、と萩島に背を向けた鳥が歩きがてら、
「あ、俺、コーラが良い、缶の奴で良いよ、よろしくなー」
 と、言い残し、教
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