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根上碧海さんは魔王になりたい!
根上碧海さんは魔王になりたい!
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っぽいと考えたんだろ、だが、それも終わりだ」
 萩島は前方で口をあんぐり開けたまま間抜け顔をしている根上から視線を外し、隣で微笑んでいた槇原にアイコンタクトを謀った。槇原はそのコンタクトを受けて、分かってるよ、とウインクをしてみせ、根上に告げた。
「――GM、私は今持ち合わせるラスボス級の魔力を解き放ってミノタウルスの首輪を残してミノタウルスを消したいんだけど・・・良いですか?」
 根上碧海は項垂れて、ひらひらと手を動かして返事を返す。
「いいわ、どうせアンタ最強の魔法使いって設定だし、ダイスロールはなしで成功。ミノタウルスは究極の白魔法、全てを無に帰す光によって消えてしまいました、三人は残されたミノタウルスの首輪から鍵を入手、見事部屋のドアを開けて外に出る事が出来ました、後適当に会話してエンディング迎えちゃってー」
 根上による敗北宣言後、三人は嬉しそうに役を演じ始めた。
「これで本当にお別れなんだな」
「そうじゃ、これで終わり、わしとお前さんは時代が違う、いや、それよりもわしは当の昔に死んでおるしのう、わぁはあっはあっはっはー・・・今まで本当に有難うでござった、ゴミクズ殿、そして短い間ではあったがマキ殿、これでわしらの冒険は終了じゃな、楽しかったよ」
「いいえ、私こそ、体よく利用したみたいで悪かったわね、二人とも、でも、これで本当に終わり、さようならね」
「ああ、二人とも、俺も楽しかった! 名前の通りゴミみたいな力しか持ち合わせていなかったけど、最期に役に立てて嬉しかった!」
 三人が嬉々として語り終えた後、唐突に槇原がすっかり落ち込み、机に突っ伏していた根上に声をかけた。
「GMさん、ロール良いかな?」
 槇原の言葉に顔を曇らせる萩島、
「ん?どうして今ロール?」
 にやにやしながら槇原の言動を訝しむ烏、
「いやはやまさか・・・」
 二人の外野を無視、そのままの姿勢を保ちつつ、ややふて腐れた口調で根上が答える。
「いいわよ〜お好きにどうぞ〜」
「そうですか、ありがとうございます、ではっ!」
 槇原はGMの言葉に嬉々として二つのサイコロを振った。出た目は二つとも六、クリティカルヒットといったところだろう。
「――やった!」
 槇原は未だに不思議そうな顔をしている二人に顔を向けて言い放った。
「二人とも、今まで有難う、実はこの迷宮の脱出装置は一回、しかも一人用なの、それじゃ、ゲームオーバーになってね――黒魔法、裏切りの黒い爆炎、クリティカルだから四捨五入した後に×二、するね」
「「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」」
 二人の男の叫び声の中でぽつりと五十ダメージね、という少女の声と、くすくす笑いが混じった。
  
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