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根上碧海さんは魔王になりたい!
根上碧海さんは魔王になりたい!
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な、とりあえず俺は参加しないから。人数は自力で探すこった」
 萩島さんは最早放っておいたってついてくる捨て犬のような存在であるどうでもいい幼馴染の下らない思い付きよりも、家に帰って早くゲームがやりたいのだ。そういう態度をとれば、彼女の機嫌がどうなるかくらいは長年の付き合いである彼には分かっていた筈なのだが、このとき、萩島はゲーム事と宿題の曲者問題の事で頭が一杯で、つい彼女を邪険に扱ってしまったのだった。
「――ああそう、アンタは酷い人ね、よぅく分かったわよ、もういい、二度とアンタには頼まないから」
 彼女こと、根上蒼海は泣きそうな声で言った。気丈で格闘が強く、萩島にだけ我侭で傍若無人で唯我独尊な態度をとるくせに、萩島に冷たくされるとすぐに凹む。萩島からすれば、実に迷惑である彼女。しかし、さすがに今回は可哀想に感じる萩島であった。
「ごめん、ごめん、今ゲームと宿題の曲者の事で頭が一杯だったから、何だよ?TRPGが遊びたいのか?」
 萩島は自分の声帯から出せる、精一杯の優しい声で根上に詫びた。まるで教会で毎日神様に自らの罪を告白し続ける信徒に対して話しかける神父のように暖かい声だった。萩島の声色を聞いた途端、根上はいきなり態度を豹変させた。
「うん!遊びたいっ!だからアンタ、人数集めて!私がとりあえず出来る限りの準備をしておくから!」
 無駄な期待をするだけしたあの春が戻ってきたような、もうぎんぎらぎんに灼熱する太陽から吹いてくる風のような声で根上は元気一杯に言った。あまりの豹変振りに、萩島はすかさず突っ込みを入れ、
「お前っ!狙ってやがったな!どこの天使様だよっ!綺麗な声出しやがって!畜生っ!やられたよ、人数を集めてくれば良いんだなっ!」
 半ばやけくそになる、こうなったらもういい、と萩島は内心で叫ぶ、宿題もゲームも家に帰ってからやっつけてやる!無駄に意気込んだ萩島を見て、彼女は呟いた。
「――うわぁ、何そのテンション、ついていけないわ・・・ごめん、やっぱ私が悪かったわ、TRPGはまた今度にしましょう・・・」
「ここまで来たんだからやりましょう根上さん、御願いします、TRPGを俺と遊んで下さい」
 萩島は咄嗟にお願いした、無駄に意気込んだからには、やらないと気がすまない、きっとこのまま引き下がって帰ったとしても、もやもやとした気持ちでゲームをやり、きっと思わず隠しアイテムなんかを見逃したりするのだ、そして見逃した隠しアイテムなんかを探しているうちに宿題をすっかり忘れるという、負のスパイラルが起きるのだ、思い立ったら吉日と、昔の人が良く言っていたじゃないか。
 萩島の懇願するような両手を、小さく可愛らしい、滅茶苦茶柔らかい左手で掴んで、根上碧海は実に偉そうに言う。
「――あら、そんなにこの私とTRPGを遊びたいの?だったら遊んであげな
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