薄明
黒幕の暗躍
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グイン独特の捻くれた面白がり方、ユーモアに溢れる切返しが緊張を解き空気が和む。
闇色の瞳を一瞬、綻ばせ感謝の意を示すナリス。
何時に無く真剣な表情で豹頭の追放者を見詰め、言葉を紡ぎ出す。
「気を遣って戴き感謝に堪えませんが、古代機械はパロ聖王家の所有物ではありません。
自らが判断を下す事を禁じられている故に代行者として、パロ聖王家を選んだに過ぎない。
代行者の命令に条件付きで従うのは、本来の所有者が現れるまでの間のみと定められていた。
本来の主人《マスター》が現れた今、パロ聖王家は其の役目を終えたのだと私には思えます。
次席管理者《セカンド・マスター》の認定を取り消されても、仕方が無いと申せましょう。
3千年に渡り操作を許されていたパロ聖王家が、どれだけ理解していたかを考えますとね」
先刻と一転し笑みが消され、黄玉《トパーズ》色の瞳が考え深げに瞬く。
暫し沈黙の後、鋭い牙を覗かせる猫族の唇が動いた。
「いや、其の様な事はあるまい。
古代機械が今も尚健在であるのは間違い無く、パロ聖王家が代々保護して来た結果だろう。
パロには超人アレクサンドロスの創った魔道師の塔、対黒魔道の組織が残り竜王に抗している。
キタイ王家と異なり聖王家は中原随一の魔道師ギルド、白魔道師を重用した為に滅亡を免れた。
フェラーラの守護神と聞く大蛇アーナーダが間接的に、アウラ=シャーの神殿を護った様にな。
ホータンを護る四面神像と四巨塔もまた、王宮の地下に潜む星船の警護者だったのかも知れぬ。
それに古代機械は、俺に『失望』したのだ。
精神接触を行ったナリス殿には、お分かりいただけると思うが。
頭の中を引っくり返され、記憶を突き回されて走査された様に感じた。
失望した筈の古代機械が何故、俺を《ファイナル・マスター》と言い張るのか。
正直、全く理解出来ぬ。
今後も色々とパロ聖王家の知見、ナリス殿の御知恵を拝借せねばならぬと思っている」
「これはまた大層、吟遊詩人の如き私の妄想を買い被っていただいた様ですね。
あの生意気な古代機械と話が出来るだけでも幸運、と思って想像を膨らませてみますよ。
古代機械も尽きせぬ興味を掻き立てますが、大導師アグリッパの言葉も興味深いですね。
竜王にも到底対抗出来ぬ力の場となれば当面の敵、謎の王太子アモンにも通用するでしょうし。
それに私の要請に応えて参戦してくれた草原の鷹、スカールは何としても救わねばならない。
どうせまた治療には貴方の許可が必要だ、と古代機械は言い張るのでしょうけどね!」
黄金に黒玉の戦士は困惑の態を装い、豹頭の超戦士に似合わぬ困った貌を見せた。
猫類の丸い瞳を泳がせて見せるが、笑いを堪えた内心を細かく震える長い髭
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