邂逅
豹頭王の魔力
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イシュトヴァーンは魔道師を召抱えておらず、怪異に対処する術を持たぬ。
スナフキンの剣も無く、巨大な竜の襲撃を退ける手段は無い。
竜の顎が開き、鋭利な牙の群が露出。
兵士達は恐怖を煽られ、随所で悲鳴が響く。
ゴーラ軍の指揮系統は一瞬で麻痺、恐慌状態に陥った。
濃霧を掻き分け現れた竜の牙が一閃、アルド・ナリスを引き裂くかと見えた其の時。
ナリスの裡に異様な感覚が生じ、グインとの精神接触が再現された。
豹頭の超戦士が秘める無尽蔵の活力、膨大な星々のエネルギー。
人間の許容量を遙かに超える黄金色の精気、光と熱の激流が身体中に漲る。
ヴァレリウスは咄嗟に身体が動き、アルド・ナリスを背後に庇ったが。
己の魔力を眼前に迫った竜に叩き付け、爆発させる寸前。
華奢な手が伸び、身を挺して盾となった魔道師の肩を掴んだ。
ナリスの掌を通じ黄金色の精気、想像を絶する膨大な《パワー》が流れ込む。
豹頭の戦士を源とする激流は結界を通じ、数十名の魔道師に波及。
ヴァレリウスはまたしても貧乏籤を引き、最大の負荷を受ける格好となったが。
見習い魔道師も含め、全員が未曾有の衝撃に耐え懸命に意識を保持。
ナリスの右手が閃き銀色の愛剣、レイピアを投槍の要領で叩き付ける。
上級魔道師達が咄嗟に動き、五芒星の魔法陣を敷いた。
4人は荒れ狂う爆流の渦に耐える最強の術者、ヴァレリウスを支援。
アルド・ナリスの掌を通じ精神接触を経由の接触心話、大音声が脳裏に轟く。
「受け取れ、ヴァレリウス!
俺の《パワー》を操り、黒魔道の術を破れ!!」
エネルギーの奔流は精神接触の相手を中継して、パロ最強の魔道師に殺到。
許容量を遙かに超える強力な気と念、波動に魂を消し飛ばされそうになった。
ヴァレリウス、ロルカ、ディラン、ミード、エルムの顔も苦痛に歪む。
「気を失うな、魔力が暴走すれば何もかもお終いだ!」
「《自分》の意識を維持するだけで良い、気を集中させろ!」
「解ってる、そのまま、俺を支えてくれ!」
グインから届く無尽蔵とも思える膨大な念波、生の《力》は想像を遙かに超える。
これだけの熱量を制御する事は、世界三大魔道師にも不可能ではないかと思われたが。
必死で念を凝らす魔道師達は気を喪わず、己の許容量を最大限に活用。
各人が精神を集中し意識を焼く尽くす程に圧倒的な魔力、思念波の制御を試みた。
全員の支援を得た魔道師は重圧を撥ね退け、膨大な《パワー》を懸命に制御。
灰色の眼に殺到する巨大な竜の頭が映り、圧縮された黄金色の精気を掌から放出。
爆発的な真紅の衝撃、強大な念動力の奔流が空気を過熱させ猛烈な炎に昇華する。
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