AlFe
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がらアルは想像する、穏やかな小川が流れ、小さな命が沢山動いている景色、色とりどりの花々が暖かく、優しい日差しを浴びて佇んでいる景色、そして、小鳥達が楽しげに歌っているその森の景色を。想像をするだけでアルの心はとても高揚した、年に一度しか無い自分の誕生会よりもずっと。半身が機械の体を持つアルにとって、その森は天国のように思えていた。一年ほど前に城を抜け出してその森を見つけてから、アルは時々城の大臣や小うるさい執事達の目を盗んではここに来て、小さな生命の営みや花の美しさ、りんごの木の実の甘酸っぱくも美味しいその味を楽しんだ。そしてその度、どれほどアルの心が勇気付けられた事か。その森は半身が機械の少年に、自らの境遇に抗う力や、生きる力、優しく穏やかな心を与えた。機械の四肢は鉄の表面に同じく冷たくとも、少年の心は太陽の如く温かく存れた。
そして、アルだけでなく、もう一人、この森を愛している者があった。
第二章〜森の国の少年
アルは息を潜めて森の茂みに身を潜めていた、いつもは静かな森の広場には三人、一人はとてもか弱そうな美しい少年、その顔立ちはどこか少女のようにも見え、冬の日の兎を思わせられるような風貌をしていた。そして後の二人は背が高く、乱暴そうな表情をした機械の国の若者と、陰気な顔をした青年だった、彼らは少年の細い両腕を掴んでいて、しかもどうやらその少年に乱暴する気のようだった。
「(なあ?カワイコちゃん、俺達とちょっと楽しい事しようぜ?)」
乱暴そうな男が鼻息を荒立て、少年の体をまさぐる。
「(・・・止めてください)」
今にも泣き出しそうな表情をして、少年がぼそりと何かを呟いた。
「(ここここ、こいつ、な、ななな何か喋ったぞ、ま、まあ良いか、俺ら今気持ちよくなりたくて仕方ねえし、さっさとやっちまおうぜ、兄貴)」
陰気顔の男が言う、どうやら、男達二人には少年の喋った事が理解できないらしい。
「(ああっ、ダメ、ダメです、僕は男ですよ?それでも良いんですか?)」
「(何言ってるのかさっぱりわかんねえけど、こいつ、女みたいな体つきだぞ、弟よ)」
乱暴そうな男が少年の服の中に手を突っ込み、動かしながら言った。
「(じゃ、じゃあイケルね、兄貴、兄貴から先で良いよ、俺、体を舐めたいし)」
陰気な男がそう呟いた途端、少年がとても大きな声を上げた。
「(ううダメです、やめて・・・)」
「(この餓鬼、俺にいじられるのが気持ち良いみたいだ、本当に女みたいな奴だな、こいつ)」
乱暴そうな男が突っ込んだその手をもう一度動かそうとした瞬間、アルは反射的に立ち上がっていた。茂みが激しく揺れ、男達がビクッと体を震わしてこちらを振り向く。アルは自らが出せる最大の声量を使って、男達に言い放った。
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