決まり手は『諸手突き』
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たはずの男性に掴まれていた。・・・え?どういうこと?
「 人にするって事は、自分がされても文句言えないですよね? 」
「 ・・・・ッ!? 」
あれ?何でこの人生きてるの?そこまで電車来てて私が突き落としてその後きっと電車に轢かれたと思ったのになぜかまだホームに居て落ちたはずなのにここにいて両手を掴まれてて今から仕返しされようとしててそしたら私が死んじゃうかもしれなくて私まだ死にたくなくて・・・・
自分の思考が整理できない。
今の自分にあるのは死にたくないという本能のみ。
そして私は彼にしがみついた。思いっきり。
「 あの・・・ 」
「 ごめんなさい!ごめんなさい!・・・・ 」
彼は心底迷惑そうな顔をしているに違いない。こんな見ず知らずの女が抱きついた上に腹部に顔をうずめて泣いているのだ。いい迷惑だ。
周りからカメラのシャッター音が聞こえてくる。こんな醜態を画像に残されてはたまらないが、いかんせん自分の体は小刻みに震えており彼を掴んだ手も岩のように動かない。ああ、やだなぁ
「 そういうの迷惑なんでやめてもらえますか? 」
不意に聞こえた声に驚く。声の主はおそらく私が掴んでいる服を着ている男性だと思う。そして明らかに機嫌が悪い、きっと私のせいだろう。恥ずかしいのと男性から睨まれるのが怖くて顔を上げることが出来ない。
すると再び男性の声。しかし今度はさっきみたいな不機嫌な声ではなく、私の耳元で囁くように
「 この電車乗りますよね? 」
私は無言で頷く
彼と彼のスーツにしがみついたままの半べそかいた私は丁度到着した電車に乗ると、2人掛けの座席に2人で座った。なんだかもう訳が分からない。なんで初対面の男性と一緒の席に座って通勤しているんだろう。そして何故私は少し安心してしまっているのだろう。
そんな私の心の声を知る由も無い彼は、数分の沈黙の後にこう尋ねてきた
「 あなたは誰の使徒なんですか 」
・・・え?
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