第20話〜前へ進むために〜
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つめていた。
「いや〜、なんというか驚いたね。あのグエン・ラインフォルトがこんな場所で暮らしていたなんて」
二回目となるノルドの夕焼けを見ながら、グエンを連れて集落へ戻り、彼に導力車を修理してもらった。日没までにはたどり着けたので、僥倖だ。
今はノートンにグエン、そしてZ組A班を歓迎する宴会が長老宅で開かれている。酒を飲み交わすイヴンやグエン、ラカンたち大人を遠巻きに眺めながら、Z組男子陣はノートンと同じテーブルで食卓を囲んでいた。
「やっぱりその筋では有名な人なんですよね?」
「そりゃあ、導力革命を受けてラインフォルトをあそこまで巨大なグループにした立役者だからね。娘さんが会長職を継いでからはさらに巨大になったけど」
「・・・昔のラインフォルトは銃火器等を作る武器工房、って感じだったのに、今では帝国軍の主力戦車まで手がけていますからね」
「ケイン君から見ても、そんな感覚かい?」
「まぁ、そうですね。俺たちも結構お世話になっていますし」
さすがというべきか、グエンの知名度はかなり高いようだ。そして、ラインフォルトが大陸各地にも販路を広げているらしく、グエンが帝国において国際人とも呼べる存在だとノートンが説明してくれる。
帝国時報に所属するカメラマンだけあって、グループの現状もある程度把握しているのかもしれない。
「物知りだと思ったが、そこまでの人物だったとは・・・」
彼と面識のあるガイウスですらそこまでは知らなかったらしく、素直に驚いている。しかし、ノートンでさえ、グエンが会長を辞めた理由を知らないとのこと。「こりゃあ、あの噂が正しかったのかもしれないな」と意味深な言葉を口にしたノートンに、噂について尋ねてもはぐらかされてしまった。
気になって思い返されるのは、グエンを後ろに乗せて集落に戻っていた時に彼が言った、「祖父と母親の対立」という言葉。他人には親切なアリサが、一方で自分のことを一人で抱え込む原因が、その対立らしい。
(もしかしたら、その対立が・・・)
「あの、リィンさん」
「どうしたんだ?」
「その、実は・・・」
余計な詮索をしていると、ファトマたち女性陣の輪にいたはずのエマがこちらに来て声をかけてきた。風に当たりたいと言って外に出たアリサの様子を見て欲しいそうだ。一応どうして自分なのかをエマに訊いたが、適材適所ということらしい。
「リィン・・・ど、どうしたの?あなたも食べすぎたとか?」
「ああ、結構頂いたかな」
エマの言葉の意味はついぞ分からなかったが、とりあえず外に出てみると、すぐ近くにブロンドの髪が見え、視線に気付いたアリサがリィンの方へ振り返る。心なしかフラついているようだ。
「おっと・・・」
「
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