第20話〜前へ進むために〜
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もこれと似た像があるんだよ」
ブリオニア島。確かB班が今回に行っている実習地のはずだ。ガイウスですらノルド以外に遺跡があることを知らなかったため、その事実に全員が驚いていた。ノートンは専ら遺跡を撮影していて、ノルドに来たのもここの取材が目的だったそうだ。取材であればとリィンたちは納得し、彼の仕事が終わるのを待つことにした。
「ケイン・・・ラウラたちが、心配なんだな?」
「な、何で分かった!?」
「あなたねえ・・・顔にそう書いてあるんだから、バレバレよ」
周囲への警戒を怠ることなく、普段より険しい表情のケインにリィンは声をかけた。ノートンの話で図らずも意識してしまったのだろう。
「ラウラとフィーならきっと大丈夫だ。だから今は信じて、俺たちにできることをやろう」
「・・・そう、だよな。ありがとう」
リィンの言葉を聞き、ケインは穏やかに微笑んだ。気休めにもならないかもしれないが、彼が安心して実習に臨めるようにするのも、リーダーと呼ばれる者の務め。微力ながら、B班にいる彼女たちの善戦を祈るばかりだった。
−ノルドの集落−
ノートンを集落へ送り届けた後、南部にいた残りの羊を保護し、依頼主であるワタリのもとへ誘導した。羊が出た原因は柵の破損だが、5匹とも魔獣に襲われた気配はなく、柵を直していた彼も作業を終えたので、もう心配はないはずだ。
最後にジェダ婆様からの依頼で、子供たちに外の世界を知ってもらうため、皆からの推薦でリィンが教師役となって帝国について授業を行った。参加したのはシーダ、リリ、そして彼女の友達であるコタン。士官学院や帝都、トリスタからノルドまでの所要時間などを語った。
「あれは・・・煙か!?」
「ああ、そうみたいだな。様子を見に行こう・・・!」
休憩を兼ねて、集落の中心の芝生で今日の実習について振り返っていると、北のほうに煙が上がっているのが見えたため、いち早く煙に気付いたアレスに続き、リィン達は駆け足で現場に向かった。
どうやら導力車事故のようで、車に乗っていたらしい薬師のアムルに経緯を尋ねた。いわく、北の山脈にある森林地帯で資材を取った帰り道、集落についたところでハンドルが急に重くなったとのこと。彼が軽傷を負っているのみで、他に被害者がいないのは、不幸中の幸いだろう。
「・・・ふん、なるほどね」
アムルの話を聞き、アリサが車のエンジンの様子を調べると、エンジン周りの結晶回路が接触不良を起こしていることが判明した。しかし、彼女は技術者ではないため、修理は不可能だそうだ。
「ふむ・・・だが、少々面倒なことになってしまったのう」
「というと・・・?」
現場に居合わせていたイヴン長老が、困り顔で口を開く。その様子を疑問に思ったエマが事情を尋ねると、長
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