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赤子の声
2部分:第二章
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第二章

「そしてわしがここに派遣されたのだ」
「左様ですか」
「それでなのですか」
「聖上直々に」
「勅命で来た」
 また言う呼延賛だった。
「この騒ぎを終わらせる為にだ」
「では今から山にですか」
「入られるのですね」
「何ならついて来るといい」
 呼延賛は村人達に対してこうも話すのだった。
「何ならな」
「山にですか」
「将軍と御一緒に」
「わしは誰にも倒されることはない」
 これは自負であった。彼は宋きっての猛将でありその武勇は天下に知られている。その強さは宋の敵である遼にも恐れられているものなのだ。
「相手が誰であろうともだ」
「だからですか」
「それでは」
「ついて来るか」
 また村人達に対して問う。
「それでいいか」
「はい、それでは」
「御願いします」
 こうしてである。呼延賛は村人達を連れてそのうえで山に入った。山には緑の木々が生い茂り下には草がある。そして今もあれば小川もある。何処にでもあるような山だ。
 しかしだ。村人達の顔が強張っている。そのうえで周囲を見回していた。
「今にも聞こえてきそうですね」
「そうだよな、あの声が」
「そこからも」
「それを待っている」
 先頭にいる呼延賛だけがだ。勇猛な顔で言うのだった。
「聞こえればそちらに行く」
「何かありますね」
「そこに」
「あるから行く」
 また話すのであった。そうしてだ。
 遂に聞こえてきた。その声がだ。
「聞こえたな」
「ああ」
「赤子の声だ」
「あっちだぞ」
「間違いない」
 村人達は慌てふためいた顔でだ。山の頂上の方を指差してだ。そのうえであれこれと話してそのうえでさらに狼狽した顔になるのだった。
「あっちにいるぞ」
「そうだな、そこにだ」
「いるな」
「そうだな」
 呼延賛もその声を確かに聞いていた。そのうえで頷くのであった。
「頂上の方に行くぞ」
「え、ええ」
「それじゃあ」
 村人達は彼のその言葉に頷いてだ。頷いてそのうえで向かいだった。彼等はそのまま上に向かいであった。やがて目の前にであった。
「!?何だありゃ」
「あの化け物は何だ?」
「動物じゃないな」
「やはりな」
 その化け物はだ。身体は虎だった。しかしその頭は人の頭だった。禍々しい表情で赤い血走った目をしてだ。口から鋭い牙を見せてきていた。
 その化け物が一行に襲いかかろうとする。しかしだ。
 呼延賛が前に出てだ。それと共に背にあるその二本の銅鞭を放つのであった。
 それで跳び掛かってきた化け物の額を打つ。それでまずはその突進を止めた。
 そこから激しい闘いがはじまった。化け物はその牙と爪で呼延賛を倒さんとする。しかし彼はその鞭で化け物を何度も何度も打ち据える。そうしてだ。
 一刻
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