第ニ十話。託された想い
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??』
モンジのツッコミが入った。
うん。音央が普段、俺の事をどう思っているのか、露見した瞬間だな。
風景の中の、記憶の中の音央は詩穂先輩にからかわれて。
『あ、あいつはスケコマシです! 絶対! 女の子とすぐ仲良くなりますしっ』
『ふーん……じゃあ音央ちゃんも仲良しなんだろうね。明日、相談してみてくれるかな?
例の『神隠し』を調べてーって』
『会長の口からお願いした方がいいと思うので、あたしは連れて来るだけにしますね』
『うんうん、それでいいよ! ありがとねん♪』
……そして、此間の朝に繋がるわけか。
「この日、貴方を強く意識した音央は、貴方の夢を見ました」
「それで、俺は君に会ったっていうわけか」
「……はい」
『スケコマシっていうところは否定したいなあ』
全く同感だな。
『しかし、もっと早く……俺が一之江と会う前にこの手の状況に陥っていたら。
なす術なく、消えていたな。きっと。
______だけど、本当に、『今』で良かった』
ああ。『今』だからこそ、なんとか出来るからな。
「俺達はさ、音央が俺の夢を見てくれた事が嬉しいよ」
「え、 疾風……さん?」
音央が俺の事を夢で想ってくれたから、だから俺達はここに来れたんだ。
「そうなのですか? だって、あの子が貴方を想わなかったら……」
「想ってくれたから、こうして2人とも助ける事が出来るんだよ?」
「2人とも、助ける……?」
「ああ。だから今、彼女がいる場所に案内してほしい」
「……ですが、あの子は……真実を知ったら、きっと……」
「大丈夫だ!」
『神隠し』の手をぎゅっ、と強く握り締めながら俺は言う。
「大丈夫だ。音央は……とことん弱い!」
「え……?」
本当ならここは『強いから大丈夫』というべきなのかもしれない。
だけど、それは逆効果だ。
『弱いから強がるんだ。弱いから負けないように頑張るんだ。あいつは……』
「音央は弱いから大丈夫なんだ!
弱いからどんな困難にも立ち向かおうとしてくれるんだ!
もし、倒れそうになったら、絶対に大丈夫にしてみせる!そして君も助ける!
ここから外に出してみせる!
俺が教わった心得にこうあるんだ。
仲間を信じ、仲間を助けよ。
依頼人との契約は必ず守れ、って。
俺は音央と約束した。
『何かあったら、俺が守る』ってね。
だから俺達に任せてくれ!」
俺がそう言うと、『神隠し』の少女の瞳から大粒の涙が溢れ落ちた。
「……疾風さん……助けて、くれるんですか……?」
「俺は、いや、俺達は『主人公』だ。泣いているヒロインをみんな助ける役だからね!」
きっぱり言い切ると。
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