第ニ十話。託された想い
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人物として一致しない。
音央だが音央ではないみたいで……間際らしいから俺も便宜上『神隠し』と呼ぶ事にしよう。
「へえ、『神隠し』はこれでいいんだ?」
と、それまでキリカの様子を観察していた詞乃ちゃんが『神隠し』に尋ねた。
彼女に話しかけられた『神隠し』のその肩がビクッと震えた。
「『神隠し』が消えちゃうと……『あの子』も消えちゃうのに?」
「あ……う……」
辛そうに顔を歪めて吐息を零す『神隠し』。
その光景を見た俺は彼女の置かれている状況を理解した。
つまり、この『神隠し』はその『あの子』を消させないために神隠しをしていたんだ、と。
自分から進んで『神隠し』を行うタイプではないと思っていたが。
やはり、そういった理由があったんだ。
「つまり、『あの子』が消えなければ、もう嫌々『神隠し』をしなくて済むんだな?」
「あははっ! まあ、そうだけどね?」
ふむ。詞乃ちゃんの言い回しは、何かありそうな感じだな。
そもそもあの子って、どの子の事なんだ?
「モンジ君達は、ちゃんと『神隠し』と向き合わないといけないみたいだね」
考え込む俺の前にキリカは立って、のんびりと告げた。
「うーん、それってこの『神隠し』の事じゃないのか?」
「あはっ、それを考えるのも、私達の『主人公』の役目だよ、モンジ君っ!」
うーん……キリカのその言い方だと……まだ俺のやるべき事がある。
そういう意味だ、と思うようになるな。
そしてモンジ君『達』って……やっぱりキリカは。
いや、まだ結論を出すには早いな。
俺『達』って事は……俺と『神隠し』の少女の事なのかもしれないしな。
うん。後者だと考えてみるか。
俺の隣にいる『神隠し』の少女。
この少女が音央なのは間違いない。
間違いないが……。
キリカに彼女について尋ねようと思ったが、キリカは詞乃ちゃんに向き合ってお互いに見つめ合っていた。
「へえ、初めまして、魔女さん。もしかして魔女さんが相手してくれるんだ?」
「うん、初めまして。貴女は『百物語』じゃないっぽいから……」
キリカをよく見てみると。その手に赤い粒子みたいな光が集まって……。
やがてその光は赤い大きな、百科事典みたいな『本』になった。
「いただきまーす、しに来ました」
「いただきますされに、じゃなくて?」
にこやかに笑う詞乃ちゃんに、にこやかに笑い返すキリカ。
……互いに強力なロア。
お互いに笑顔なのはどちらも自分自身に絶対的な自信を持っているから、なのか。
「さ、モンジ君。『あ
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