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101番目の舶ィ語
第十九話。奈落の底で……
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「いえ、なんと言いますか……」

「ん?」

「こうして抱き合っているだけで、幸せなもので……」

『勝手にお嫁さんにしたい人ランキング5位以内確定です!』

なんだよ、そのランキング……。
俺の頭の中で馬鹿な事考えるなよ。
まあ、気持ちは解らなくもないけどな。
確かに、お嫁さんにするならこういう子の方が……。

ゾクリ。

「っ??」

『っ?? 今、背筋が寒くなったような……気のせいか?』

ああ、気のせいだ。うん、きっと気のせいだ。
なんだか誰かに見られている『視線』とかも感じるけど……気のせいだよ。うん。
さて、冗談は置いといて……。

「そっか。なら、いいのかなぁ……?」

心臓がやたらとドキドキしているのが解る。
つまり、俺の体は健康体なんだ。
それだけでも解れば安心だ。うん。

「ふふっ、でも……恋人さんに悪いから、これ以上は遠慮しておきます」

『恋人……だと??
爆発しろ! 即効爆発しろ??』

「いや、恋人は……いたような記憶はないけどな……」

そもそも記憶がなくなっているのだから、そんなのは解らないのだが。
というか、頭の中の俺よ。
お前が言うな!
……なんて、なんとなく思ってしまった。

「そうなんですか? だって……」

「ん?」

和服少女が、俺の首筋を人差し指でなぞるような感触がした。

「ここに……キスマークが」

そう彼女に言われた瞬間。


ずぐんっ??


頭を再び硬い金属で殴られたような衝撃が走った。

「ぐぅっ??」

『これは……??』

「どうしたんですか??」

背筋が熱くなった。
まるで炎がすぐそこに生まれたような感じでとても熱い。
だが、それ以上に脳が焼き切れるんじゃないかと思うくらい熱い!

「あ、あ、あ、あっ??」

『……蟲……赤い虫』

脳の血管の中に、無数の蟲がざわざわと這いずり回っているかのように激痛が走った。
脳細胞の細胞という細胞に、熱くておぞましいものが取り憑いて、その熱で脳を内側から噛み千切るんじゃないかと思うくらいの、そんな勢いだ。

「ど、どうしたんですか?」

少女の心配そうに泣き叫ぶ声がもの凄く遠くから聞こえる。
激痛のせいか、その声がぐわんぐわんと響いては、頭の傷口に唐辛子でも塗り込んだかのようにさらなる刺激を与えてきた。

『待ってくれ。そんなに泣き叫ばないでくれ!』

痛い。痛みでどうにかなりそうだ。
いや、もうどうなってもいい。
この痛みから解放してくれ!

『辞めろ! 泣かすな! これ以上、彼女を泣かすなよ!
変われ! 俺と変わってくれ!俺はどうなってもいいから……』

気を失
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