暁 〜小説投稿サイト〜
101番目の舶ィ語
第十九話。奈落の底で……
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
??」

俺の頭の中で叫ぶお前は一体誰なんだ?

『気がついたか……。
俺が誰か、か。
解らない。俺も自分が誰かなんて覚えてないからな。
俺の事は今はいい。
それより早く彼女を探してくれ!』

ズキンズキンと痛む頭を抑えた俺はその痛みによって自分が置かれている現状を思い出した。
そうだ俺は……。
『四度目の夢』を見て……和服の少女に会って……。

「って、そうだ!」

彼女は?
あの和室でしか会えない少女は何処にいるんだ?
声が出た事により意識がはっきりとしてきた。
そうだ俺よ。何忘れていたんだ。
彼女の、あの少女の涙を止めるのが先だろ。
何まったりと、『消えよう!』なんて思っていたんだ、バカか俺は。

『まったくバカでハゲだなお前も』

「ハゲてねえよ??
ってんな事より、何処だ……何処にいる??」

『落ち着けよ』

落ち着いて辺りを探ってみると、自分の体が温かくて柔らかいものに触れているのが解る。
まだ、体はあったのか、という気持ちと。
その温かいものが何か、というのは思い出せた。
そうだ!
彼女は、この暗黒空間に一緒に飛び込んで来たんだ。
本来なら俺だけが来て消えるはずだったであろうこの暗闇に一緒に来るなんて……そんなのは自殺行為以外のなにものでもない。

「あ……良かった。消えて……ませんでしたね……」

その弱々しい声はすぐ近くから聞こえた。
俺の胸元から聞こえた事から察すると……どうやら俺は彼女に抱き締められているらしい。
体に感じる温もりがそれを把握させてくれたおかげで、ちゃんと意識を保っていられる。
抱き締められた事により……ドキドキしたせいか、血流が体の芯に集まったけどな。

『彼女に抱き締められていた、だと?? 爆発しろ!
エネイブル爆発しろ!』

そして頭の中にその声は変わらず響く。
お前が爆発しろよ。

「どうして、飛び込んで来たんだ?」

彼女が側にいてくれた。
その事実に安堵しながらも思わず尋ねてしまう。
彼女が何故、一緒に来たのかを。

「……その……」

「うん?」

「初めて……抱き締めてくれた人を……失うのが怖かったんです」

『うひょー、なんていい子なんだ!
抱き締めてえぇぇぇ』

お前は少し黙れ!
ってか、頭の中で号泣すんな。
何故か解らないが俺の頭の中で叫ぶお前と俺は繋がっているんだから、お前の感情は俺にだだ漏れだぞ?
だからその、人生で初めてモテた! みたいな事を思うの辞めろ!
記憶を無くしているだけで、本当はモテモテだったのかもしれないぞ。

『マジで??』

いや、知らんけど。
そんな事より……。

「君が助けてくれたんだね、ありがとう。君がいなければ危う
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ