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101番目の舶ィ語
第十九話。奈落の底で……
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ういう意味だろう。
それはつまり、出来た人がいないという事実なだけで出来ない、というわけではない。不可能だと思われているけど無理ではない、というわけだ。

「……そうか」

不敵に笑いながら何処かで聞いた言葉が頭の中に浮かんだ。
彼女はおそらく『嘘』をつけない。
本当に出来ないのなら、『誰も出来ない』と語ればいいだけだが彼女は『出来た人はいない』と答えただけだからな。
それはつまり。

「俺が最初の一人になればいいだけだよな」

「ふふっ、そう?」

詞乃ちゃんは楽しそうに笑いながら告げる。

「じゃあ、やってみるといいよ??」

詞乃ちゃんが右手を挙げると。

「や、やめてー??」

それと同時に着物少女の声が響き。真っ黒な穴が俺の足元に開いて……。

「きゃあっ??」

「ちっ!」

何故か慌てて駆け寄ってきた着物少女を咄嗟に抱き締めた俺は……。
______その暗闇の中に飲み込まれていったのだった。















2010年?月?日。



そこは純粋に真っ黒な場所だった。



目を開いているのか、閉じているのかも解らないほど暗黒に包まれた場所で。
『自分』という存在が消えてしまったような感覚に囚われる。
試しに手を動かしてみたが、そもそも手の動かし方が解らない。
自分に『手』があるのかも解らない。
自分が立っているのか、寝ているのか、浮かんでいるのかすら解らない。
ただそこにあるのは『何もない』微睡みだけで……。
何かをする気力や考える意志や思考力といったものがどんどん削られていき。
ぼんやり、と何もかもが曖昧になっていく。
……なるほど。これが『消える』という事なのか。
なんとなく『死後の世界』があったらこんな感じなのか、と思ってしまった。
ここが『死後の世界』だとするとこの暗闇は『奈落の底』なのかもしれないな。
もっと絶望や恐怖に包まれるかと思っていたが、そういった感情すら湧かない。
もう何も考えなくていい、もう何も気にしなくてか。
体を動かす事も出来なければ、感じる事も出来ないのだから。
このままぼーっとしていれば、本当に何もなくなっていくのだろうな。
これが『消失』という事なのかもしれない。
ああ……どんどん心というものが溢れ落ちていくのが解る。

このまま、消えるのもいいのかもしれないな。

そんな事を思った瞬間。
頭がズキンと痛んだ。
まるで硬い金属で殴られたかのような、ズキズキとした痛みを感じて……。
そして、俺の頭の中にその声が聞こえてきた。

『本当にいいのか?』

何だ?

『それで本当にいいのかよ、答えろ!
エネイブル!』

「うっ……誰……だ
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