五十四話:戦いの始まり
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。その登場と行為にイッセーが怒りの雄叫びを上げて殴りかかろうとするが、ディオドラは嘲るように笑いながらアーシアの首筋に手を当てて、それ以上近づけばアーシアを殺すぞと暗に脅しをかける。その卑劣な手口にグレモリー眷属は全員歯ぎしりをしながらディオドラを睨みつけるがアーシアを人質に取られているために迂闊には動くことが出来ない。
「禍の団の手引きご苦労。ディオドラ君、君の役目はこれで終わりだ」
「禍の団ですって!?」
「当然だろう。私もその一員なのだから。もっとも、本隊は今頃、観戦席やVIPルームで暴れまわっているだろうがね」
リアスの叫び声に対してヴィクトルは淡々と答える。それを聞いたリアスは今回のレーティングゲームは仕組まれていた罠だったのだと気づき、歯噛みする。恐らくは現在の三勢力のトップが集うこの機会に、全戦力を持って一掃してしまおうというのが旧魔王派の考えなのだろうと憶測を立てる。
同時に、新魔王の血筋である自分とその眷属も狙われているのだろうと思い、それに対しては相手の数が少ないとつい思ってしまうが、すぐにヴィクトルに為すすべなく倒された過去を思い出して、理解する。敵は自分達に一人しか送れなかったのではなく、一人で十分すぎると判断したのだと。
「そういうことだ。醜いドラゴンは僕とアーシアが結ばれるのを、指を咥えて見ているがいい!」
「……ディオドラ君。先程の私の言葉を聞いていなかったのか?」
「なんだ、人間? 僕は今からアーシアと―――」
ディオドラはその言葉を最後まで続けることが出来なかった。
なぜなら―――その胸から血濡れた赤い槍が突き出していたからだ。
何が起きたのかも分からずに血を吐き出しながら自身に槍を刺したであろう人物を見るために彼が後ろを向くと凍り付く様な冷たいエメラルド色の瞳と目が合った。
「言ったはずだ。君の役目はこれで―――終わりだと」
言外に用済みだと、言い放つと同時に手の部分だけ骸殻化させて出していた槍を引き抜くヴィクトル。ディオドラは支えが無くなり立つことが出来なくなり、アーシアを手放してスローモーションのように地面へと崩れ落ちる。そんなまさかの事態にグレモリー眷属はヴィクトルとディオドラを交互に見る事しか出来ない。
「愚かだな。自分が利用していると思いこみ、実際には利用されていただけとも気づかぬお前は」
「なん……だと? この僕が…利用されていた…?」
「所詮、お前は使い捨ての駒に過ぎない。旧魔王の奴らも役に立たなくなったら捨てるつもりだったようだ」
何の感情も感じさせない声で自分を見下ろしながら淡々と真実を告げていくヴィクトルにディオドラは初
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