五十四話:戦いの始まり
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と……嫌な予感がするな。多分、ヴィクトル以外だろう、あいつは俺だからオーディンならその事に気づくだろうからな。何も言わないという事はそういうことなんだろう。
「そいつは誰なんだ? 名前とか特徴とかは分からないのか?」
「ほっほっほ、それこそがお主のメリットじゃ。どうじゃ? ことが始まるまでの爺の退屈しのぎに付き合う気にはなったかの」
「……わかった。俺に話せることは話そう」
「それでは契約成立じゃな。それでは、まずは――――――――」
その後、俺は一体誰が審判に加わったのかを頭の隅で考えながらオーディンの質問に答えていくのだった。
レーティングゲームの控室で待っていたグレモリー眷属はゲーム開始時刻となったので皆、若干緊張した面持ちで用意されていた転送用の魔法陣の中に入り、静かに転送されるのを待つ。特に今回の件の中心人物であるアーシアは不安そうにイッセーの手を握っている。
そんなアーシアの不安を感じてかイッセーはその手を優しく握り返して微笑みかける。そして、彼等は光に包まれて転送される。彼等が転送された場所は辺り一面が白く、地面は石造りで出来ており、ただ何もない広い空間で、一定の間隔に柱のようなものが埋め込まれていた。
そしてその後方には大きな神殿のようなものがあったが、どこか様子がおかしいことに彼等は眉をひそめる。なぜ、そうしたのかというと、戦闘フィールドに到着したにも関わらず未だにアナウンスがかからない上に敵であるディオドラ・アスタルトの眷属も到着した様子がないからだ。何かしらトラブルでもあったのかと顔を見合わせている所に背後から声を掛ける者が現れる。
「久しぶりだな……グレモリー眷属諸君」
「あなたは…っ! ヴィクトル!?」
声を掛けた者の正体、ヴィクトルは仮面の下に冷たい笑みを浮かべて驚愕の表情を浮かべるグレモリー眷属を見つめる。突然の登場に一瞬、呆気にとられて固まっていたグレモリー眷属だったがすぐに意識を戦闘に移して、陣形を組み始める。だが、その陣形は直ぐに崩されることとなる。何故なら、突如としてアーシアの体に鎖が纏わりつき、その身動きを封じてしまったからである。
「キャァァァッ!」
「アーシア!?」
アーシアが拘束されたのを見計らったようにヴィクトルの隣に新しい魔法陣が現れる。そして、その中から鎖の先端を持った人物が現れ、強引に鎖を引き、アーシアを引きずるようにしてその手の中に収め、高らかに笑う。
「あははは! これでアーシアは僕の物だ!!」
「ディオドラァァァァッ!!」
「おっと、赤龍帝。アーシアがどうなってもいいのかい?」
アーシアをその手中に収めた人物の名はディオドラ・アスタルト
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