五十四話:戦いの始まり
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納得できない。だから、ハッキリと言わせてもらう。
「確かに、俺は不幸かも知れない。でも、ちょっと位運が悪くたって俺は黒歌に愛して貰える最高の幸せ者だからいいんだよ」
「っ! ……もう、バカ」
俺が笑顔でそう返すと、黒歌は一瞬、間の抜けたような顔をするが、すぐに頬を赤くして俺の耳元でそう呟いて抱き着いてくる。俺はそれを抱きしめ返して幸せを実感する。黒歌の温もりを感じられるならどんな不幸が待ち受けていたとしても俺は幸せだ。……逆に言えば黒歌がいなかったらどんな幸運が待ち構えていたとしても幸せじゃない。たぶん、“あいつ”が過去を求めるのはそのせいなんだろうな……。
「……幸せなのはいいことですけど、こうも目の前でイチャイチャされると殴りたくなってきます」
「ふむ、よく分からないが私も殴るべきか? 私の女子力の見せ所だな」
「ゼノヴィア、女子力って女子の腕力のことじゃないわよ」
「っ!? そ、そうだったのか?」
なんか、一気に雰囲気が明るくなったのはいいんだけど、小猫が指をゴキゴキ鳴らしながらこっちを見ているから、ゼノヴィアのアホ発言で有耶無耶になっているところで逃げるか。何はともあれ、今度のレーティングゲームは応援にいくからしっかりとディオドラをブッ飛ばしてくれよな。それをしたらおっぱいドラゴンの件は許してやる。そんな応援を心の中で送りながら俺は黒歌の手を引きながら部室から出て行くのだった。
あれから、特に俺にとっては目立って新しいこともなく日々は過ぎていき、ついに部長対ディオドラのレーティングゲーム当日になった。勿論俺と黒歌は応援の為に観客席に座っていたんだけど……何故か、VIPルームに案内された。なんだ、何かまずい事でもしたのか?
そんな疑問を不安になりながら抱いたが俺達を案内してくれたグレイフィアさんは何も答える事がなかった。そして、VIPルームに着いてみると、当然のことながらサーゼクス様やアザゼルに並ぶ各勢力のVIP達がズラリと揃っていた。その様子に自分達が明らかに場違いな感じがして俺達は身を縮こまらせる。すると、そんな俺達にある隻眼の老人が声を掛けて来た。
「ほっほっほ、そう緊張するではない若者よ」
「あなたは……北欧の主神―――オーディン様ですか?」
「いかにも、ワシがオーディンじゃ。……所で、お主の連れは中々にエロい体つきをしとるのぉ」
「殺すぞ?」
俺は黒歌の方に隠すことなくいやらしい視線を向けるオーディン様……いや、こんな奴はオーディンで十分だ。とにかく、オーディンに対して本気の殺気を叩きつける。だが、オーディンは愉快そうに笑うだけで平然と俺の殺気を受け流す。
流石に主神というだけの力はあるんだな。というか、つい
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