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大統領の日常
本編
第二十話 とある戦線の物語1
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マン少将が指示を出した後、ヘルメールに目で確認をとりヘルメールはそれを許可すると顔を縦に振った。
数分後、両軍のオペレーターが同時に声を発した。
「「敵艦隊射程距離内に入りました!」」

その言葉を待っていたラーベクトが
「砲撃開始!」
と、
ヘルメールが
「ファイエル!」
と号令を下す。
双方の弾がほぼ同時に放たれ、敵に弾の雨を降らせる。

3時間ほど砲撃の応酬をするとそろそろかとエールマンが指示を出した。
「両翼を広げて敵を半包囲せよ」
命令を受けた各艦はそれぞれ横に広がり守備艦隊を包囲し始める。

この動きにラーベクトは両翼の先端に砲撃を集中させ動きを止めようとしたが、これを予測していたエールマンが両翼に重装甲の艦を集中配備したため思ったほどの混乱はなかった。
ラーベクトは装甲の厚い艦を外側にして紡錘陣をとり防御に徹した。

一方地上戦は守備部隊の有利に進んでいた。
これは地上部隊司令官のベルート・ローザス中将の指揮のもと、入り組んだ山道や渓谷に兵力を配置し、地の利を生かした防衛線を展開していたからである。
一部の戦線では逆に敵に攻勢をかけるところもあり、勝てるのではないかという思いがより一層守備部隊の戦意を高めていた。

しかし戦闘開始から9時間後、それまで有利であった守備部隊は一気に劣勢に立たされる。
敵中深くにまで攻勢をかけていた守備部隊は上空からの艦砲射撃を受けて攻勢が一時的に停止した。これはすでに100隻ほどになったロンディバルト軍を包囲していた艦隊を一部割いて地上攻撃可能高度まで降下させたものである。ローザスはこの攻撃を受けると、すぐに全軍を終結させて戦車部隊を前衛にして後退を始めた。しかし、この間にも飛空艦艇からの艦砲射撃は絶えず守備部隊に容赦ない攻撃を加えており、しかも今まで防御に徹していた地上部隊も部隊を再編し反撃してきたため、秩序だった後退はできず、損害は増えるばかりであった。

最終的に最初の防衛ラインまで後退できたのは2個歩兵師団、3個戦車連隊、1個機械化旅団のみで、これに基地防衛のために残っていた、2個歩兵連隊、3個戦車中隊、4個砲兵旅団、を合わせて合計約6万8千9百人であった。これは当初の18万9千人の約3分の1である。

地上部隊の後退の報はすぐに飛空艦隊まで伝えられたが、もはや彼らにもどうすることはできなかった。
既に飛空艦隊は68隻にまで撃ち減らされており、この状態を何とか保っている状態で、いつ崩れてもおかしくない状況であった。

そのまた5時間後、ガルメチアス軍は補給のために一時後退した。守備部隊の方もこれに乗じて基地まで後退した。


西暦2115年 10月 23日
ラーベクト中将


現在われわれは敵の後退に合わせて基地に補給のために帰投
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