第6章 流されて異界
第115話 守り切れ!
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が為されたのなら、何が起きるか分かった物ではない事に野球部の連中も気付いたでしょう。
少なくとも奴ら野球部所属の審判団は、九組の連中が人外の存在だとは気付いていない。ただ、俺の立場が気に入らないからこんな一方的な判定を繰り返して居るだけ。その結果、怒った俺に殴られる可能性がある事にようやく足りない頭でも気付いたと言う事。
確かに、一般人同士の野球の試合の判定が気に入らない場合の最終的な決着は其処になるでしょう。まして、校内の暴力沙汰で負う被害は相手の方が上。相手は腐臭を放って居たとしても高校球児。俺は文科系の部活動の部員。
二〇〇三年の対外試合が禁止、などと言う不名誉な結果を望んで受け入れるか、俺に一方的にぶん殴られて怪我をする事を望むか、の二択しか用意されて居ませんから。奴らには。
それまで以上に、ゆっくりと……。まるで力を溜めるかのような雰囲気でモーションに入るハルヒ。見鬼の能力を発動させずとも分かる。今の彼女の周囲に存在する精霊たちが活性化し、歓喜の歌を奏で始めた事が。
身体全体を覆っていた精霊の輝きがある一点を目指して移動を開始。それは上半身から腕。そして、腕から手首の先へと。
高く左脚を上げ、其処からマウンドの傾斜を利用して大きく踏み出し、
その動きに対応するかの如く、徐々に光輝が右手首の先へと収斂して行く。
これは既に一般人でも光の存在に気付いているかも知れない!
スムーズな体重移動。通常よりも深く身体全体が沈み込む事と、僅かにリリースするタイミングを遅らせる事により発生する微妙な間。
そして何より――
「!」
淡い、などと言う穏当な言葉では説明出来ない光輝が闇を貫く。そして、その瞬間だけはヤツらの周囲に揺蕩う、ただただ黒々とした永劫を斬り裂いたのだ!
しかし!
しかし、次の瞬間、その永劫の闇より何かが放たれる。それはまるで、触手の如き影。そう感じて、しかし、直ぐ冷静な思考により否定。いや、そんなはずはない――と。それは超高速で振り抜かれた黒いバットのはずだ。
こんな場面で、ヤツラが、ヤツラの正体を一般人の前で。ましてや、俺たちのような世界の防衛機構に関わる人間たちの前で正体を晒す訳がない。
猛烈な尾を引きつつ有希の構えたミットに向かって奔る光輝。そして、その眩いまでの光の中心を打ち抜かんと最短距離を走る黒のバット。
そして次の瞬間、光の中心を黒き触手が貫き――
いや、違う! ハルヒの投じた球は光の進む軌跡とは違う場所を奔っていた!
ボールは振り抜かれたバットの僅か五センチ上を通過。中腰と成って居た有希のミットを叩き、耳に心地の良い音を響かせたのだ!
そう、この重要な場面でハルヒが選択したのは高速スライダーでもなければ、ジ
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