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入れ替わった男の、ダンジョン挑戦記
誕生、前代未聞の冒険者
第五話
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チとネックレスを渡す。

「ヨーンさん、このネックレスは?」
「ドラゴンゾンビから出てきた。使い道が無さそうだから、お願いできます?」
「分かりました。少しお待ちください。」

奥に行った受付嬢を待ちながら、冒険者達と情報交換を大いに含んだ四方山話に興じる。

「おいヨーン、五十階前後に鉱脈があるってマジか?」
「僕も詳しくは見てないけど。屑石ではあるけど、ミスリルとかの破片は転がってたね。」
「俺は『異次元の間』って呼ばれる場所があるって聞いたことがあるが?」
「ああ、入ってすぐの階層に触ったら吸い込まれる壁があるんだとさ。見たことないがな。」

冒険者同士の会話をしていると、受付嬢が戻ってきた。…あれ?ネックレスがありますが?

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「買い取れない?」
「はい。正確には、高額すぎて、支払えない、ですが。」
「それってどれ位の…?」

値段が気になる。一億単位をポンポン支払う彼等が支払えない額って。

「この系統のアクセサリーは、単純に最低額で十垓です。」

目ン玉飛び出るかと思うくらい驚いた。

「このネックレス、『竜の加護』と言う特殊な能力が付加されています。竜の加護がついたアクセサリーは非常に貴重かつ強力です。世に出回っているのも片手に足りる程度で、このネックレスには、生前に加護がついたのか、高位の『風竜の加護』がついています。ですので、正確な査定額は、二百三十六垓八千五百京九千四百兆六千三百億七千九百万円になります。」

受付嬢の淀みない説明で納得した。無理だよそんな額は。人間が所持したり払ったりして良い額じゃない。

厄介の種にしか見えなくなったぞ、このネックレス。

「そして、ネックレス、名称『風竜の泪』以外の査定額が、70845420円になります。」

いつも通り口座に振り込んでもらいながら、ネックレスの上手な処分の仕方を検討する。身に付ける?欲に目が眩んだ馬鹿が群がって襲ってきたらどうする?

人にあげる?その人が身に付ける場合の僕と似た目にあわないか?

捨てる?何処に?万一呪いのアイテムよろしく帰ってきたら?

美術館等に寄贈…、問題ない、問題ない!いける!ウェルカム、ナイスアイデア!!

「リアさん!美術館に…!」
「人工島にはないよー。」
「えぇー…。」

グッドバイ、ナイスアイデア…。短い付き合いだったな…。

付近の冒険者にも無償で提供を持ちかけても、良い笑顔で断られた。厄介事を抱えない、良い判断だ。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

翌日、リアさんと別れ、宿で休んだ朝、女将さんから、妙な手紙が届いた、と言うので開けてみると、

【 予告状
楠英司所持の『風竜の泪』を頂きに参上します!

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