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乱世の確率事象改変
其処で繋いだ友達のカタチ
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っている方だが、正直なところ私にも分からん」
「なんだ、教えてくれなかったのか?」
「ああ、絆を深めろとだけおっしゃった。お前が益州に向かう前に少しでも強く、とな」

――それならきっと記憶のことが関連してるに違いない。無理矢理繋ぐもんでも無いと思うんだが……こんな直接的な手段に出るなんて、華琳にしては珍しい。心配してくれてるなら有り難いんだけど、なんだろ……不安、みたいに感じるのは気のせいだろうか。

 まさか、と思った。自分で考えて苦笑が漏れた。
 華琳が不安を感じるなんておかしくて。俺が壊れて消えるのが不安なのか、それとも……黒麒麟に戻った時に劉備のとこに戻るのが不安なのか。
 有り得ない。万事に手を打つのは分かる。でもさすがにそんな弱気になるはずなんか無い。前者なら納得し兼ねるがまだ分かる。けど後者だと……持つはずの無い無意識の劣等感を持ってることになる。
 やはり考えても分からなかった。とりあえずは……答えが出ないことを悩むより、今はこの風呂を楽しむとするか。

「そうかい。華琳の考えは分からんがなんか意味があるんだろうな」

 それだけ言って、俺は空を見上げた。
 露天風呂になっているこの場所は、切り取られた蒼天が綺麗に見えた。
 静かに皆も風呂に浸かっていた。同じように空を見てるのかもしれない。誰も話さない穏やかな一時が凄く心地いい。
 じわりと染み込む湯の暖かさに微睡そうになるも、幾分、元譲の声が耳に入った。

「……徐晃」
「なんだ?」
「真名を許してやる」

 突然の許し。言い方が真っ直ぐ過ぎて笑いそうになった。本当にこいつは……嫌いじゃない。

「ありがと、じゃあ気軽に秋斗って呼んでくれな」
「偶にしか呼ばん」
「はぁ?」

 ただ、またわけの分からんことを言い出したから、思わず喧嘩腰に聞き返してしまった。

「お前は好きに呼べ。だが私はお前の真名を気軽に呼んだりしない」
「それなら俺も呼ばない。対等の条件じゃないのはごめんだね」
「なにぃ!?」

 真名の価値観は分からない。元譲なりにナニカ理由があるのかもしれないが、俺に出来る線引きはこの程度だ。
 俺の様子を読み取ってか、妙才と霞の声が間に入った。

「どうどう……春蘭、落ち着き」
「姉者、言葉が足りんぞ。すまん徐晃……姉者は線引きとして真名をあまり呼ばないことにしたのだ。他の皆は女だが、お前は男だ。真名を呼びあうのだから恋仲と取られてもおかしくないし……分かるだろう? お前の線引きも分かるがここは引いてくれないか?」

 そう言われても俺には曖昧にしか分からないんだが……頷いておくしかない。嘘つきの弊害が此処で出た。
 恥ずかしいから、とかそういう理由じゃないのは分かる。元譲が華琳のモノだからっての
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