3部分:第三章
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「宜しければ御願いします」
「わかったよ。それじゃあ」
シャンタウゼーは笑って頷く。こうして二人の愛がはじまった。
二人の愛はそのまま静かに二人だけで育まれた。二人は毎日野原で会い楽しい時間を過ごした。だがそれに少しずつ異変が起こっていった。
ポイゾナの髪の色が変わってきたのだ。あの美しい黄色の髪は次第に色褪せて少しずつ灰色になってきていたのだ。
「これはどうしてなんだ」
シャンタウゼーは恋人の髪の色が変わっていくことに驚きを隠せなかった。それと共に美しさが消えていくことに深い悲しみを覚えた。
「君の髪が。どうして」
「私にも」
ポイゾナは哀しい顔で彼に応えた。同じように哀しい声で。
「わからないのです。どうして」
「君のあの黄色い髪は戻らないのか」
「まさか。それは」
「いや、けれど」
シャンタウゼーは言った。
「こうして灰色になっていく。どうしてなんだ」
「私の髪は。もう」
二人にはわからない。どうしてポイゾナの髪の色が変わっていくのか。だが髪の色はどんどん灰色になっていき黄色はなくなってしまっていた。そうして遂には完全に灰色になってしまい戻ることはないかのようであった。
その時は冬だった。ポイゾナの顔は沈みシャンタウゼーも何をどうすればいいのかわからなくなかった。神であろうともわからなかったのだ。
「このまま君は」
「そんなのは」
シャンタウゼーのその言葉に顔を沈めさせる。涙で頬を濡らすだけだった。
「嫌です。私はずっとここにいたい」
「僕もだよ」
シャンタウゼーも泣いていた。涙が止まりはしない。
「君がいなくなったら。一体どうしたら」
「貴方と離れたくはないです」
二人の気持ちはもう決まっていた。愛し合いどうしても離れたくはなくなていた。だがそれでもポイゾナの髪の色は戻らずその可憐さも色褪せていっていた。もうどうしようもないかと思われた。
「どうしたらいいんだ」
シャンタウゼーは必死に考えた。
「この髪も君も。どうしたら」
哀しげに呟きながらポイゾナの灰色の髪を触る。かつては清らかな花弁の様な手触りで眩いまでに輝いていた髪も今では枯葉の手触りで色褪せている。もう戻りはしないと思われた。
だが触ってみると。違ってきた。
「えっ!?」
シャンタウゼーは今自分が触ったポイゾナの髪を見た。何と黄色が戻ってきたのだ。手触りも。
「これは一体」
「どうしたのですか?」
「髪が戻ったんだ」
そう恋人に告げる。
「髪の黄色さが。今」
「嘘・・・・・・まさか」
「いや、本当だ」
驚いた顔と声で恋人に語る。
「今本当に。これは」
「そういえば」
ポイゾナは困惑した顔でシャンタウゼーに告げた。
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