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函館百景
その4
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ってしまっていた。
函館赤レンガ倉庫の明かり
一種の節電なんだろうが、旅人にはちといただけない。
腹を満たそうとするが、どこの食堂も店も、9時を過ぎて閉まっていた。
昼に取ろうとしたハンバーガーショップも。
何とか、光から光へと渡り、函館駅前の方角へ手探りで進んでいく。
コンビニの白い光に魅かれてそちらの方に行くと、路面電車の電灯が黄色く、ぼんやりとともっている。
そこで漸く安心した。
路面電車の白い光の中に入り込み、函館駅前に戻る。
昼に明るかった駅前は、今は電灯に照らされて、独特の光で輝いていた。
暗金色、とでも言うべきか。
夜の函館駅前
その中で、建物窓だけが白く点々とした光をともしている。
ふと、お寿司を食べようと思い立ち、函館駅前の朝市に行く。
もちろん、閉まっていた。
全部白いシャッターをしていた。
店内は明るいのに、妙に不気味である。


すこしふらふらになりながら、函館の商店街を歩いた。
暗い金色の街並みが、妙にきれいになっていた。
車が通っているところを考えると、開けたところなのだろう。
幸い1件だけ、函館ラーメン屋があいていた。
るるぶでも紹介されていたものらしい。
入ってみることにした。


北海道のラーメンと言うと、極太の麺、濁って濃い汁、コーンやバターが使われた豪快なラーメン。
それが僕のステレオタイプな北海道ラーメンのイメージになっていた。新横浜ラーメン博物館で、札幌のラーメンを食べて以来か。
ところが、函館ラーメンは、薄い味付けに、ちぢれた細い麺。透き通った汁。
一瞬九州ラーメンかとも思ったが、九州ラーメンは白い汁が濁り、ちぢれが少なく、紅ショウガがのっかっている感じ。
やはり九州ラーメンとも違う。
中国の人がなかなか来ず、ラーメンもシンプルな形になってしまったか。
それとも、そのあっさりとした構成と味付けが、函館人の好みに合っていたのか。
とにもかくにも、このあっさりしたラーメンを一番安い値段で食べてみた。
旨い。
もちろん本格的な北海道ラーメンも嫌いではないが、こういうあっさりとした構成と味のラーメンも悪くはない。
夜の中で、ささやかな楽しみになった。


ふと、職場の皆や知り合いにお土産を買わねばと思い、再び暗金色の夜を通る。
とはいっても、十人もの人へのお土産として買うわけだから、万人の口に合うものにしないといけない。
カニなどの生物は持たないし。
結局、以前買った『白いお台場』もどきの菓子にした。
チョコをウエハースで挟んだ代物。
それでも、相手が喜ぶならそれでいいか。


ホテルに入ってやっと安心した。
銭湯はなかなかのもの。
函館の町
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