その4
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の中で光に照らされ、青白くなっていた。
上へたどりつく。
すでに展望台全体がぎゅうぎゅうになっている。
円柱状の建物で、屋上つき3階建てになっていたものだが、2階にあったレストランも、席でいっぱいになっていた。
子連れもかなり多い。通路でとびはね、はしゃいでいる。
群衆をかき分けながら、屋上へ上っていく。
足腰は意外に疲れない。ロープウェー入口まで急だったのだが。
屋上へ登ってみる。
円柱の建物を中心に、山の岩肌まで裾を広げたように展望台は作られている。
前を函館の街並み、左手に海、右手に函館温泉と、細切れになっている半島が見えるようになっていた。
函館の細切れになっている場所
薄い闇の中で、少しずつイルミネーションが、ぱっぱとついていくのが見て取れた。
親子連れや恋人連れががやがやと騒ぎ、三脚を立てて写真を撮る人も出る中で、僕も取ろうと思った。
この瞬間は、時間が許す限りとらないといけない。
白い景色が夕闇によって青白くなるのは、本当に短いから。
ところが、カメラで夜景モードを起動させると、どうしてもシャッター間隔が長くなり、写真がぶれてしまう。
三脚を使わないとうまくとれないようだ。
のちの花火大会で、夜景モードは何とか使いこなせるようになるが、カメラが高性能化すると、使うのも大変なものだ。
仕方がないので、『イルミネーションモード』にする。
これはイルミネーションの光を強調する撮り方。
きれいに撮れた。
子供がはしゃぐ。
夜の中での落ち着き。
長い、平和な、夜である。
がやがやと騒ぎだす者もいれば、帰りのバスへと足を向ける人もいる。
外国の人も日本の人も、騒ぎながら問題をおこさず、何かに興じる。
ある意味での、平和ではなかろうか。
北海道の細切れになっている稜線を見ながら、右側に函館空港があり、左側に市街がある、と、自分の位置を確認する。
イルミネーションは大体まばらに散乱しているが、右側に行くほど薄くなっている。
開けたところと、そうでないところが手に取るように分かる。
函館山を降りると、夜の9時。
函館ロープウェーからの夕闇
ホテルのチェックインは11時だから、急がないといけない。
暗闇の中を、走った。
わけがわからない。
山で時間を費やした後悔と、闇の恐怖が頭を覆っていたような気がする。
空腹感もあった。
いっそのこと函館山でとろうとも考えていたが、レストランの値段が高く、フライドポテト1食で千円。
余り食事には、名物以外お金をかけないようにしていたから、即座に却下していた。
イルミネーションはすっかり消えてしまっている。
赤レンガも、明りを押さえて静かにな
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