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ソードアート・オンライン 穹色の風
アインクラッド 後編
圏内事件 2
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 直後、朝っぱらの往来に、三人の絶叫が響き渡った。



 やけに得心した様子のヨルコ、顔を赤くしてツカツカと進むアスナ、何度も左右に首を捻るキリト、横目にチラチラとマサキを伺うエミ、そして普段通りの無言、無表情で歩くマサキ――と、まさに百人百様の五人組は、暫く歩いた後に一軒のレストランに入った。時間が時間だけに一人の客もいない店内の、一番奥まったテーブルに着く。入り口からは十五、六メートルは離れていて、よほどの大声でなければ店の外から聞かれる心配はない。何処か宿の個室を締め切ると言う手もあるが、それだと《聞き耳》スキルによる盗聴を防ぐのが困難になるため、万全を期すための処置だった。
 すぐさま飛んできたNPCウェイターに飲み物を注文し、ものの数分で揃ったところでマサキが切り出す。

「まず、《グリムロック》に《シュミット》。この二つの名前に聞き覚えは?」

 単刀直入に告げると、ヨルコの小さな身体が微かに震えた。じっくりと間を空けてその質問を嚥下(えんか)し、目を伏せ、大きく息を吐き出してから、彼女はスローモーションのようにゆっくりと頷いた。

「……はい、知ってます。二人とも、昔、私とカインズが所属してたギルドのメンバーです」

 その答えに、マサキの目が細められる。同時に彼の頭脳が高速回転を始め、ヨルコの放つ一語一句をデータとして海馬に詰め込んでいく。
 ヨルコにカインズ、シュミット、そしてグリムロック――今回の事件との関係が疑われる四人が繋がったということは、推測通り、かつて彼女たちのギルドで今回の事件の発端となる何かしらが存在する可能性が高まったと言うことだ。
 そのことを(ただ)したのはキリトだった。
 自分たちは今回の事件の目的を、《復讐》あるいは《制裁》だと考えている。かつてあなたたちのギルドで、何らかの出来事があったのではないか。そして、その出来事のせいで、カインズは犯人の恨みを買ったのではないか……と。

 今度の質問には、中々答えが返ってこなかった。重苦しい沈黙を長い間守り続け、自分の顔が水面に映るティーカップを見つめ。更にそのカップを震える手で持ち上げて、数度小さく喉を鳴らしてから、ようやく彼女は頷き、そして話し出した。彼女たちが所属したギルドで起きた、最初は小さな、そして最後には大きく膨れ上がってしまった、悲運な一つの《出来事》のことを。



 ――ヨルコの話によると、彼女たちが所属していたギルド――ギルド名を《黄金林檎》と言う――は、その日の生活費を稼ぐためだけの、中層プレイヤーの中でもかなり下のレベル帯に位置していたギルドだったという。
 そんなギルドに事件が起きたのは、今から半年前のこと。
 とあるダンジョンに潜っていた黄金林檎のメンバーたちは、偶然にも
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