アインクラッド 後編
圏内事件 2
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ちにアスナの顔が真っ赤に染まり、彼女はぷいと横を向くと、キリトの手を――恐らく全力で――引っつかみ、
「ち、違うわよ! この人とデートとか、ありえないでしょ!? ほ、ほら、ヨルコさんとの約束に遅れるわよ! あなたも、ぼけっとしてないでさっさと歩く!!」
「な、ちょっ、いで、アスナ、いでででで……!」
抵抗するキリトを引き摺って歩き出す。
ぽつんと取り残される二人。
「ウソ……あのアスナさんが……!?」
小さいながらも驚愕の色が強く浮き出たエミの声が、二人の間でこだました。
ヨルコと約束した時間より十分ほど早く待ち合わせ場所である宿屋へ着いたマサキは、板張りの壁にもたれながらキリトから昨晩から今朝の出来事について話を聞いていた。曰く、
DDA幹部の《シュミット》に、半ば強引に証拠品の槍を押収された。
《貫通属性ダメージ》を受けている状態で圏外から圏内へ入ったところ、ダメージは止まった。
「槍を持っていった連中の中で、今回の一件を知っているらしいのはシュミットただ一人だったんだな?」
後者のことを話したとき、若干キリトの目が泳いだような気がしたが、マサキはそれを口にすることなくキリトに問うた。
「ああ。シュミット以外の連中は、かなり戸惑った様子だったから……多分、とりあえず頭数だけ揃えて来たんだと思う」
「となると、今回の件と関わりがある可能性があるのはDDAではなく、あくまでシュミット個人ということか。その辺りも、これから聞いておいたほうがいいかも知れないな」
視界の隅に浮かぶデジタル時計でそろそろ待ち合わせ時刻になることを確認したマサキは、視線を受付横の階段に向ける。その傍らでは、エミとアスナが談笑に耽っていた。アインクラッド屈指の美少女同士、どうやら話も合うようで、当初は付いていた敬称も今は何処かへ吹き飛んでしまっている。
視界の端に映るデジタル時計が十時ジャストを告げたのと殆ど同時に、ヨルコは階段の上から姿を現した。睡眠不足なのか、それとも元からそうなのか、両目を眠たそうに忙しく瞬かせている。彼女は階段を下りきると、四人に向かって小さく一礼した。
「悪いな、友達が亡くなったばっかりなのに……」
キリトが申し訳なさそうに言うと、ヨルコは力なく首を振った。
「いえ……いいんです。私も、早く犯人を見つけて欲しいですし……。あの、そちらの方は?」
「ああ、紹介するよ。今日から手伝ってもらうことになった、マサキとエミだ」
キリトが身体をずらしてマサキたちを促す。それに合わせて二人は一歩前に進んで軽く名乗った。
「マサキだ」
「エミです。今日は辛いと思いますけど、よろしくお願いします」
「そうだっ
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