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魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
空白期 中学編 19 「体育祭での一幕」
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 それはそうだけど……今思えば、こいつも結構変わったわよね。昔は手を抜くというか、この手の行事には積極的じゃなかった気がしたけど、今ではクラスでもやる気があるほうだし。

「……今度は何ですかお嬢様?」
「わざわざ嫌味の混じった言い方してくれてありがとう。大したことじゃないわよ、あんたが昔と違って積極的になったって思っただけで」
「積極的?」
「そうよ。あんた、昔は学校行事とかにあまり興味なかったでしょ」

 あたしの発言にショウは「あぁ……」と答える。そのあと納得しながら考える素振りを見せ、近くにあったイスに腰を下ろした。

「まあ……俺なりに思うところがあるんだよ」
「ふーん、それって何なのよ?」
「興味なさそうな返事した割に聞くのか?」
「まあ暇潰しがてらね」

 次の競技にうちのクラスの女子が出るけど、フローリアンさんがいれば男子達を盛り上げてくれるでしょう。それにショウとふたりだけで話す機会ってのも滅多にないし、友達としては交流を深めておくべきだわ。

「暇潰しって……大した話じゃないぞ?」
「それはあんたじゃなくてあたしが決めることよ。それになんだかんだでこうやって話すこと少ないじゃない。ある程度仲良くしてないとあの子達が心配するでしょ?」

 ショウは微妙な顔を浮かべたが、可能性がないわけではないと判断したのか肯定の返事をしてきた。その後、懸命に競技に励む生徒達のほうを見ながら話し始める。

「まあ単純な話なんだけどな……俺は中学を卒業したらあっちに移り住もうって思ってる。だから思い出を作っておきたいだけさ」

 さらりと言われたその言葉を聞いたのは、おそらくあたしだけだろう。周りに生徒がいないわけじゃないけど、意識はグラウンドの方に向いており、声援が響いている。そのため近くで耳を傾けてなければ聞こえなかったはずだ。

「ふーん……あっちに行くのはやっぱりお義母さんのため?」
「それもある……けど、1番は俺自身のためかな。昔は技術者とパティシエ、どっちの道に進もうか迷ってた」

 あぁ……確かこいつのお父さんは技術者でお母さんはパティシエだって前に言ってたわね。
 魔法関連のことは分からないことだからあれだけど、お父さんのほうが凄い技術者だったらしいし、お母さんのほうは桃子さんに負けない腕だったとか。
 こいつって何気にハイブリットよね……なんて思うのは不謹慎かしら。ずいぶんと昔に亡くなってるらしいし。
 ショウの両親は、彼の家に飾ってある写真で見たことがある。父親のほうはどこか女性的な線の細さのある顔立ちをしているが、少年のような目をした優しそうな人だった。母親のほうは長い黒髪を襟足あたりで結んでいて、凛とした雰囲気を感じさせる人だった。身近な人で言えば、シグナムさんに近
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