第五章
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「女の子の服で。何着か貰ったけれど」
「うちの子は二人いるけれどどっちも男の子なの」
奥さんも困った笑顔で話すのだった。
「貰ったことは有り難いけれど」
「これがね」
「女の子の服は着られないから」
男の子だからだ、男の子が女の子の服を着る趣味や風俗もあるにはあるがアメリカではオーソドックスなものではない。
「だからね」
「それで、なの」
奥さんはジョーンとエマを見つつ話した。
「貴女達どうかしら」
「アパッチ族の服を貰ってくれるかな」
「プレゼントしてくれた人も着る人がいないならってね」
「他の人に着てもらってもっていうから」
だからだというのだ。
「どうかな」
「アパッチ族の服を貰ってくれるかしら」
「ええと、アパッチ族の服っていうと」
「映画とかでも出て来る」
ここでだ、二人はまた西部劇のことを思い出した。
「あの皮の服ですか」
「女の子の」
「そう、ああした服だよ」
「あの服なの」
「貰ってくれるかな」
「貴女達さえよかったら」
夫婦で姉妹に言う、そしてセオドアも。
妹達にだ、こう言った。
「先生達もそう仰ってるし」
「後は私達がどうするか」
「そういうことね」
「そう、どうかな」
こう言ったのだった。
「御前達さえよかったら」
「ううん、それじゃあ」
「どうしようかしら」
二人でだ、顔を見合わせてだった。
暫く二人だけで相談した、そのうえで。
先生達に顔を向けてだ、こう答えた。
「じゃあお願いします」
「その服を下さい」
「お願いします」
「それじゃあ」
「よし、わかったよ」
微笑んでだ、先生は二人の返答を受けた。そしてだった。
そのうえでだ、すぐにだった。
奥さんが一旦退室して二人の前にその服を持って来た、その服は。
皮をなめしたライトブラウンの丈の長い服だった、袖や裾のところにフリンジがありスカートには切り替えもある。
そしてだ、黒の白の三角の横模様にだ、黒と白、赤のラインの模様もあり首のところにもネイティブの不服らしい模様の布が下がっていた。
首は覆われており頭にはライトブラウンを基調にした模様が入っている。靴もあり服の多くの部分に長い毛がある。
そのドレスを持って来てだ、奥さんは二人に言った。
「バイソンの皮を使った服よ」
「バイソンですか」
「あのプレーリーにいる」
「大きな野生の牛ですよね」
「西部劇にも出て来る」
「そう、アメリカバイソンよ」
まさにその野牛だというのだ。
「その牛の皮で作ったの」
「今アメリカバイソンは保護されていてね」
先生も皮の素材になったアメリカバイソンについて話した。
「こうした服にも中々出来ないんだよ」
「そうなんですか」
「じゃあこの服ってか
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