暁 〜小説投稿サイト〜
処女神の恋
1部分:第一章
[2/2]

[9] 最初 [2]次話
だから彼はどんな怪物であろうとも倒せると思っていたのだ。
「お任せ下さい」
 その逞しい胸をドンと叩いて言った。
「宜しいのですか?」
 メロペーはおどおどとした様子で問うた。
「本当にそれで」
「構いません」
 彼の声は強いままであった。
「私はオリオーンですよ」
「はあ」
 その言葉が何よりの自信の証であった。
「例えどの様な怪物であろうとも敗れはしません」
「本当ですね?」
 しつこいかな、と思ったがまた問わずにはいられなかった。メロペーはまた問うたのだった。
「どんな怪物でも」
「負ければ私は貴女を諦めましょう」
 負ける時は死ぬ時だ、ならば諦める他ない、オリオーンの考えは非常に単純であった。
「そこまで仰るのなら」
 メロペーはそこまで言うのなら、と彼に賭けてみることにした。
「まずは。父に話してみます」
「お願いします」
 こうして彼はメロペーの父であるオイノピオン王と会うことになった。彼は祖父に酒の神ディオニュソスを持つ神の血を引く者であった。ディオニュソスはゼウスの息子であり、オリオーンの父ポセイドンはそのゼウスの兄弟である。だから彼等は遠い親戚同士であると言えた。もっともお互いそれを今までそれを意識したことはなく、今も意識することはないのであるが。オリオーンはただ純粋にメロペーを手に入れたくて彼の前に姿を現わしたのである。


[9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ