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万華鏡の連鎖
宇宙戦艦ヤマト異伝
絶望の悪夢
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 硬い鱗を纏う重火力機械魚介類と異なり、初見参の敵は透明な珠に封じられた超巨大魔胎児。
 原初なるもの《バイオ・ストロング》の嘲笑、悪意が精神を掻き乱す。

 瞬間物質移動装置の如く、数多の魔珠が実体化。
 無数の珠が更なる巨大化を遂げ、爬虫類を連想させる異形の魔胎児が視野を覆う。
 巨大魔胎児は悪夢の如く増殖、宇宙空間を埋め尽くし侵入者(インベーダー)に殺到。
 ヤマト艦載砲の総動員、全砲門解放射撃(オール・ウエポンズ・フリー)を呑み込むかと見えた。

 エネルギー奪取弾、波動爆雷を撒き散らし真田志郎特製の魔鏡も展開示。
 空間磁力メッキ発生装置は膨大な電力消費を伴うが、背に腹は変えられぬ。
 ドメル率いる戦闘班は衝撃波砲(ショック・カノン)15門、断続的破壊光線(パルス・レーザー)砲24門を駆使。
 的確に魔珠を貫くが、分身の増殖速度は遙か上を行く。

 球形レーダー担当サーシャ航法士、重力波スクリーン表示装置も混乱。
 スターシャ通信班長、タラン工作班長にも敵の弱点を見出す天啓は訪れない。
 永遠に続くかとも思える執拗な連続攻撃に曝され、絶望の2文字が皆の心を浸蝕。
 雲霞の如く湧き出る無限艦隊《タナトス》の映像が脳裏に甦り、巨大な胎児の嘲笑が響く。


「怯むな、ガミラスの勇者達!
 我々は女神の恩恵を受け、何物にも換え難い大切な事を学んだ筈だぞ!!
 最後の最後まで諦めず、希望を棄てず絶体絶命の窮地を覆した勇者達を見習え!
 偉大なる宇宙戦艦ヤマトに敗北の汚名、挫折の2文字を冠する事は断じて許さん!!

 ガミラス星人は如何なる強敵にも背を向けぬ勇者、大宇宙屈指の戦闘民族《ファイター》である!
 己の裡なる恐怖、不安に屈する者は我が軍に不要だ!!
 逃れる術は無い、肚を据えろ!
 ダライアスの人々を、絶滅の運命から解放せよ!!」

「波動エンジン、過負荷モードへ移行!
 出力、200パーセント!!
 短距離の遷移(ワープ)を繰り返しても、問題は無い《ノー・プロブレム》!
 ただし、この均衡は、保って、360秒です!!」

 真っ先に反応を見せたのは機関長代理、元冥王星前線基地司令官シュルツ。
 流石に『我等の前に勇者無く、我等の後に勇者無し』の至言を遺した漢だ。
 『戦って、死ねと伝えい』等と暴言を吐いた事が悔やまれる。
 機関室で奮闘する部下、ガンツ達が常識を無視した達人技を駆使している事も間違い無い。


「主砲と副砲を総て、第1次ビーム仕様に変更しました!
 千倍の効果を発揮しますが、一瞬で回路が焼き切れます!!
 過負荷に耐え得る砲身、砲員防護装置の交換用予備は皆無!
 射撃の機会(チャンス)は、1度きりです!!」

 元太陽系方面作戦司令長官、
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