番外編043話 if 真・恋姫無双編 13話
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風に考えた華琳だったが、すぐに桂花からの声で我に返る。
「華琳様! 右翼、左翼共に敵を押し返し始めました!」
「良くやったわ! けれど必要以上に相手を押し込まないようにしなさい。私達はあくまでも撤退する為に一時的な猶予を作り出すのが目的なのよ! 特に春蘭には言い聞かせなさい!」
「その旨は既に秋蘭に伝えてあります」
「そう、だといいけど……」
アクセルと初めて会った時に春蘭が行った行動。あの行動のおかげで……しかも、それを諸侯の前で大々的に公表された為、華琳は地味に手痛いダメージを負っていた。
陳留で善政を敷いているという民の評判こそが華琳の力の源の一つだったのだが、宦官の孫である華琳がそのように民からの評判がいい事を気に入らない者も多い。
そんな者達がアクセルに対して行った事を陳留へ噂として流し、結果的に陳留にいた商人達も少なからず去って行かれる事になったし、兵士達の中にも華琳や春蘭に対して幻滅したという態度を隠さない者まで現れるようになる。
そうなれば当然春蘭としては我慢が出来ずに爆発しそうになったのだが、華琳はそれを止めた。
もしここで春蘭の自由にすれば、華琳自身が噂を認めた事になるのだから。
それ故に、華琳は以前であればある程度は自由にさせていた春蘭の行動を厳しく制限するようになっていた。
春蘭の暴走が自分への忠誠や愛情故のものであるとしても……いや、だからこそ野放しにした場合、手痛い被害を受ける事になると思い知った為に。
「……そう、なら今はとにかく一旦撤退よ。確かに反董卓連合軍は敗れた。けれど、私達までもが敗れた訳じゃない。今はとにかく一旦陳留まで戻って、態勢を整える必要があるわ。そうすればここで受けた被害も最小限に……」
してみせる。
そう言おうとしたのだろう。
事実、華琳の力量があればそれは不可能ではなかった筈だ。……そう、この戦場にアクセル・アルマーという規格外の存在がいなければ。
轟っ!
そんな音と共に、ジェネシスと曹操軍を隔てるようにして炎の壁が生み出される。
不運な事に、丁度その炎の壁の生み出された位置にいた諸侯の兵士や武将達は一瞬にして燃やし尽くされ、鎧は溶け、身体は炭と化す。
「っ!?」
それに息を呑んだ華琳達だったが、次の瞬間に聞こえてきたのはこの惨劇の始まりとなったのと同じ声。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
違うのは、あの時はただ吠えただけだったのが、今回は威嚇の意味が込められていた事か。
同時に、炎の壁の前にいた諸侯の軍を斬り裂くかのように吹き荒れる真空の刃、カマイタチブレス。
兵士や武将が身につけている鎧など何の意味もないとばかりに、次々とその身は鎧諸共に斬り刻まれていく。
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