精神の奥底
42 暴走する権力
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ステーションが事故に遭ったのかは分からなかった。でもね、そのパーツを解析した結果、あるものが見つかった。私たちも最初は目を疑ったわ」
「あるもの?」
「肉眼では視認できない…微弱な電磁波が採取された。でもその電磁波はただの電磁波じゃなかった。生物の体の一部であるということが分かったの」
「電磁波の生物…電波体!!」
「そう、そしてその電磁波からはその生物のDNAとは別に人間のDNAも検出された。それは取り残されたクルーのDNAと一致したわ。この事から我々は1つの仮説を立てた。ステーションは地球外生命体の襲撃に遭い、その際、取り残されたクルーはその地球外生命体と何らかの方法で融合して脱出したのではないかとね」
「それが…新しい始まりだったんですね」
ヨイリーは一度、お茶を啜ると続ける。
「これによって世界で初めて電波変換のメカニズムを解析することに成功、プロジェクトは再び動き出した。でもその過程で2つに別れた。手に入ったDNAや解析できた全てのメカニズムをベースに研究を進めるチームと電波変換システムのメカニズムだけを継承して研究するチーム、前者がリサちゃんの言う『Project Stardust』、後者が『Project TC』、アシッド・エースの生まれたプロジェクトよ」
「そうか…だからアシッド・エースと姿が似ていたのか」
「確かに外装システムを構成するものは同じ技術を使っている部分は多いわ。ただし研究自体は『Project Stardust』の方がベースになる電波体のデータがあった分、早く進んだ。DNAの欠損部は『Project TC』で開発されていたアシッドちゃんのDNAを使用したりしてね。システムも現代の軍事科学力の結集とでも言っていいくらいの装備が搭載された。結果、人類初の電波変換システム『スターダスト・ディザイア』は完成した。そしてそれと同時にそのシステムを統制する役割を持った世界初、いえもしかしたら宇宙初かもしれないハイブリッド種の電波体、コードネーム『TRance Advanced System the Hybrid』、通称『TRASH(トラッシュ)』が誕生した」
「『スターダスト・ディザイア』…それがあのロックマンそっくりの電波人間の正体」
シドウはテーブルの上の自身のトランサーに映るスターダストの姿を見た。
自分の使うアシッド・システムのいわばもう1つの可能性、それが自分の裏切った者の手にある。
まるで目には目を歯には歯を、それを忠実に再現したかのような残酷な運命を感じた。
「このシステムはアシッド・エースと同じトランスコード認証による電波変換システムを採用しつつも、より実際の電波体の持つ電波変換のメカニズムを忠実に再現しているため、電波変換による肉体へのダメージは比較的少なく、安定した出
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