精神の奥底
42 暴走する権力
[5/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
)』、人工的に電波変換を実現し、人間を遥かに越えた超人を生み出そうとした計画です」
「待て…それじゃあ、まるっきり『Project T.C』と…」
「そうです。暁さんが使うアシッド・エースが生み出された計画とコンセプトはほぼ同じ…いわば『Project T.C』の前身にあたるものという解釈で間違いないはずです。そうですよね?ヨイリー博士?」
「……」
ヨイリーは頷くことも否定することも無かった。
湯呑み茶碗を手にして、お茶を啜る。
余裕があるとも言い難いし、焦っているようでもない。
そもそもが話を聞いているのかも定かではない。
あまりにも反応が無いため、マヤと笹塚はヨイリーの耳に耳栓でも入っているのではないかと疑い、2人でヨイリーの顔を横から覗く。
「ちゃんて聞いてるわよ。耳栓なんかしてないわ」
「っ!?」
「あのさぁ…聞いてるんだったら、なんか反応してくれてもいいんじゃない?」
「死を待つだけの老いぼれにそんな期待をされても困るわよ」
「…イエスかノーかはさておき、話を続けます。この計画により、プロトタイプの水星、『マーキュリー』から「水金火木土天海」、それら地球を取り巻く太陽系の惑星をコードネームとする7つのシステムが作られた。しかし普通の電波変換とは違い、電波体との融合ではなく、構成された設計されたスーツをマテリアライズして身に纏うことで電波人間と同等の能力、性能を発揮するもので、現在、我々の考える電波変換とは少し違うもののようです」
「何で秘密にされていたんですかね?」
「電波人間を新たなる戦力とすることを目的としており、この国を防衛する軍事的な目的も含んでいた。憲法で戦力を保持しないことを明記している国家が防衛のためはいえ、こんなものを作っていたと知れれば国家の信用に関わる。だから隠されていたんですよ」
リサは笹塚の質問に答えつつ、PCを操作してスクリーンに映した。
それぞれのシステムの設計図や開発日誌だ。
シドウは少しづつ分かり始めていた。
ヨイリーが今までことを隠し続けていた理由、それはWAXAがこの国の機関ではないからだ。
当然、この国の法律に基づいて行動はしているが、本部はアメロッパであくまでここは支部でありニホン政府によって公安調査庁内に設置されている。
本部に伝わることがあれば、アメロッパ政府のニホンへの目が変わるだろう。
世界有数の先進国の中でも上を行くアメロッパとニホンが対立することがあれば国際問題に発展しかねない。
そのため信頼しているシドウやリサ、マヤにも言うことができなかったのだ。
「しかもシステムは電波体を必要としないため、使用する人間の適合要件が低く、多くの人間が扱えてしまう危険があったんです」
「もし悪意を持った誰かの手に渡ればマズイことになる。ガキの
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ