精神の奥底
42 暴走する権力
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れを聞き入れて自分の過ちを認めるならばいいが、聞き入れずにその立場を利用して黙らせる類の人間なのだ。
高確率でシドウが騒ごうとも負ける。
そして木場の勝ちは更に木場の立場を絶対的なものへとしてしまう。
そうすれば犯罪と戦うどころではない。
内部から腐っていき、最悪、敵と同じような犯罪組織と同じになってしまう。
しかも法律を扱う組織である分、質が悪い。
特に頭が回る人間でなくても、容易に想像できることだ。
祐一朗に熱斗の友人に頼らせるのがどの程度の効果があるのかは定かではない。
だがやらないよりはマシだろう。
シドウは耳元に手を当てて、小声で口を開く。
「マヤ、光博士が映った監視カメラの映像は?」
『心配すんな。とっくに防犯システムに侵入して録画済みの映像を繰り返すように細工してある。光博士がいた痕跡はデータ上には完全に残っていない。まぁ、目撃されてはいるだろうが、息子が捕まったとすれば、父親が来るのは当然。まさか他の機関に協力するように指示するとはそうそう思いつかないだろうよ』
シドウはマヤに工作させていた。
このまま事がうまく進もうと進まなくても、捜査に木場の介入は避けたいところだ。
そのためリサ、マヤ、笹塚を含めた信頼できるWAXAメンバー数名に声を掛けて特別チームを作った。
数名に限定することで情報の気密性が比較的保ちやすい。
シドウは周囲の人目を気にしながら研究棟の方へ向かう。
これから事件の中枢で燻る存在の正体が明らかになる。
この数日間、Valkyrieと裏で対立していた謎の影の正体が。
シドウは目的地の前で自分のIDカードを翳す。
「暁シドウ捜査官、入ります」
暁シドウ捜査官 実働部隊遊撃予備班所属 ID、声紋ヲ確認
セキュリティが解除され、ドアが開く。
そこには既にリサ、マヤ、笹塚、ヨイリーが集まっていた。
ここはヨイリーの研究室だ。
大量の実験装置やPCが並び、何かの演算を続けている。
シドウがドアロックを確認すると、リサが口を開いた。
「ヨイリー博士にはここまでの経過を全て説明しました。というわけで本題に入ります」
ヨイリーは不思議と腹をくくったような態度でテーブルの上のお茶の茶柱に視線を向けていた。
無心とでも言うのだろうか、特に何か言い訳をしようと必死に考えているわけでもなく、世捨て人のように力が抜けている。
その様子に気づいていながら、リサは攻めるように続けた。
「今回、学校の地下で発見したデータを解析した結果、かつてヨイリー博士の所属していた科学省、I.P.Cなどが共同であるプロジェクトを進めていたことが分かりました」
「あるプロジェクト?」
「ええ。『Solar(ソーラー) System(システム) Project(プロジェクト
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