精神の奥底
42 暴走する権力
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能性がある」、つまり証拠は無いのだろう。
ニホンでは明確な証拠に基づいて、裁判所から出された礼状が無ければ、現行犯以外に逮捕はされないことになっている。
つまり熱斗が逮捕されたということは現行犯逮捕、捜査員の前でデータを改ざんしたのを目撃されたということ以外に考えられない。
「証拠は!?息子がやった証拠は!?」
「現在調査中です」
「!?…じゃあ証拠も無い、礼状も無い状況で逮捕したっていうんですか!?違法でしょう!?」
「….そうなんですが…」
シドウは言葉に詰まった。
顔には明らかな罪悪感の色がにじみ出ている。
シドウも法の精神に則って職務を遂行する立場だということは重々承知なのだろう。
だとすれば上から圧力が掛かったというのはこれまで幾つもの業界を渡り歩いた祐一朗には何となく察しはついた。
「申し訳ありません。今、我々の組織は真っ二つに割れています…ご子息は恐らく事件に早く幕引きしたい一部の人間に身代わりに捕まったようです…」
「そんな…」
「私もご子息が救出された人質を励ましたり、元気づけようとしているのを見て、そんなことを人間だとは思っていません。しかしどうにも出来ないのが、現状です」
「息子には…」
「面会は出来ません。しかし協力はします。ご子息は絶対にお返しすることを約束します」
シドウはそう言って薄いビニールの袋を周りの目を気にしながら取り出す。
本来なら持ち出しが許可されない容疑者の所持品、すなわち熱斗の持ち物の1つだ。
祐一朗には当然見覚えのあるものだった。
「熱斗のPET…」
「中のネットナビやプログラムには触れていませんし、盗聴等のスパイアプリも仕込んでいません」
「何故これを…?」
「大事な証人です。基本的にネットナビは嘘をつきません。彼…ロックマンはご子息が逮捕された時の様子を記録しています。このままでは証拠隠滅のためにPETごと廃棄される可能性があったので」
「…」
祐一朗は中のロックマンがスリープ状態になっているのを確認するとポケットに仕舞う。
そして周囲の防犯カメラを見渡した。
もしPETをシドウから預かる様子が記録されれば、証拠隠滅のために自宅に乗り込まれる恐れがあった。
無罪の子供を自分たちの利益のために無理やり逮捕するような危険な一派がいる以上、笑い事でも用心深過ぎるなんてことはない。
しかしシドウはそのことを計算ずくでカメラの死角をちゃんと選んでいた。
1回、咳払いをするとシドウは本題に入る。
「ここまでの話の通り、ご子息は非常に良くない状況に置かれています。そこで協力者を探して欲しい」
「協力者?」
「ご子息…光熱斗は今まで数多くのサイバーテロを防いできた実績がある。その際、シャーロ軍やオフィシャルの人間との関わりもあるはずだ
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