精神の奥底
42 暴走する権力
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同時刻 WAXAニホン支部
白のHONDA・NSXが急ブレーキの音を響かせながらエントランスの前に飛び込んだ。
警備していた隊員たちは思わず轢かれそうになり悲鳴を上げる。
こんな訪問者は前代未聞だった。
WAXAは一般にはその存在すら公開されておらず、都市伝説で噂が多少流れている程度の機関だ。
しかしこの場所に来ているということは、WAXAの存在を知っており、警察ではないといえ、少なくとも法律を行使する機関であると知っているはずである。
だがその機関のエントランスの前で盛大に交通違反すれすれの危険運転と急停車を披露した。
非常識と言ってしまえばそれまでだが、それ以上に何か平和に物事を解決出来ない類の用件だということはその場にいた誰もが感じた。
「おい!アンタ!!危ないじゃない…グェ!?」
隊員の1人が運転席に近づき、怒鳴りつける。
だが次の瞬間、ドアが開いて顔面に直撃して隊員を弾き飛ばした。
「ここか…」
中から1人の男性が飛び出す。
長身で整った顔立ちに知的な眼鏡が印象的な男性、光祐一朗だった。
祐一朗は他の隊員たちを威嚇するように睨みつけながら、建物の中に入る。
熱斗が捕まったという連絡を受け、保護者としてやってきたのだ。
電話口でただ捕まったという報告と場所だけを告げられ、何故捕まったのか、どんな状態なのかが全く分からない。
元はと言えば、熱斗をよこすように協力要請をしてきたのはWAXAの方だ。
これまで小学生の頃から幾つものサイバー犯罪やそれに繋がる陰謀を打ち破ってきた天才オペレーターとそのネットナビ、その技術で要塞と化した学校での立てこもり事件解決に協力して欲しいと。
協力に行って逮捕される、ここまでの話だけで理由を完全に理解できる人間はいないだろう。
「光博士ですか?」
様々なことを考え、気が気でない祐一朗の前に連絡の電話と同じ声の隊員が現れる。
かなり若く、凛々しい顔に屈強な肉体を持った男、暁シドウだ。
「一体どういうことですか!?協力を要請されたのに、逮捕されるなんて!!」
「実は…ご子息には不正アクセスの容疑とテロに関与した容疑が掛かっています」
「不正アクセス!?学校のシステムに侵入して情報を得るように協力を要請したのはそっちでしょう!?」
「ええ…我々の言う不正アクセスとは、学校のシステムへの侵入ではなく、その後のデータの改ざんの可能性があるということです」
「改ざん…?」
「防犯カメラ映像やシステム内から得られた武装グループの情報を改ざんし、我々の捜査を撹乱した可能性があること。またそれによるテロへの関与などの容疑です」
明らかに怒り心頭の祐一朗を納得させるようにシドウは説明する。
だが祐一朗は理解できていないことがまだまだあった。
「可
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