二話:料理とジュエルシード
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ハンマーの先から獣の形をした闘気が噴出され、餓えた狼のように熊の足に食らいつき吹き飛ばす。その高い破壊力による反動で熊は大きく体をのけ反らせる。そうして作り出した隙を逃さずに彼は一切の躊躇をすることもなく次の攻撃を展開していく。素早くハンマーから二丁拳銃に持ち替え、それを何故か天高く放り投げる。それにつられて、熊が銃を見た瞬間その腹部に再びハンマーに持ち替えたヴィクトルの攻撃が突き刺さる。
十メートル以上もある巨体にも関わらずに熊は悲鳴を上げながら大きく後ろへと吹き飛ばされる。だが、まだ彼の攻撃は終わることはない。今度は逆さに持った双剣へと武器を代え、突き進みながら一太刀、そして後ろに回り込んで相手をすり抜ける様にもう一太刀と熊の体を容赦なく切り裂く。最後に先程、天高く放り投げておいた二丁拳銃を器用にキャッチして変則的な軌道の無数の赤い弾丸を止めとばかりに撃ち込む。
「終わりだ―――祓砕斬・零氷!」
全ての弾丸が熊に当り、凄まじい爆音と共に真っ赤な炎が燃え上がる。熊はそれを食らって苦しそうな雄叫びを上げたかと思うとフラフラと巨体を揺らし、その直後に倒れ込み体を地面へと地響きと共に打ち付け気絶してしまった。ジュエルシードの力の為か死んでいない熊に僅かに仮面の下の眉をひそめるヴィクトルであったが。それを二人に気取らすことなくクルクルと二丁拳銃を回した後に華麗にしまい込む。彼は双剣、双銃、ハンマー、さらには槍まで十全に使いこなす天才的な戦士である。その実力は相手が生きてはいるものの、宣言通りの瞬殺したことからも明らかだろう。
その実力に裏付けされた、あっという間の出来事にフェイトとアルフはしばらくの間、唖然としてヴィクトルを見つめているだけであったが、バルディッシュからジュエルシードの封印を促されて熊の元へと近づいていき、気絶しているだけだということにホッとしつつ、その首元にあったジュエルシードを封印する。すると巨大だった熊は見る見るうちに縮んでいき、一般サイズの熊へと戻っていった。その様子を見たヴィクトルはあの小さな石のような物が異常の原因なのだと推測するが今はそれよりも大切なことがあると頭を切り替える。
「さて……君達も聞きたいことはあるだろうが、まずは夜中に何も言わずに家を抜け出したことや危ないことをしているのを黙っていたことについて申し開きを聞きたいのだが」
今までの威圧感が嘘のように消えて、いつもの雰囲気に戻ったと思わず、ホッとするフェイトとアルフだったが今度は今までのことについて説明しなければならないことを思い出して頭を抱えたい気分になる。別に何も悪い事はしていないし、謎の多いあんたの方から先に答えろとアルフは言い返そうかと思ったが、ヴィクトルの真剣な目を見てその威勢はそがれることになる。
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