おまけのおまけ『エピローグ』
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「ツグミ……だから父さんを困らせるなって言っただろ? ……そもそもお前のひんじゃくな体じゃ、そういう応用をこなす前にきそてきなトレーニングをつんだほうがこうりつてきだってさっき言ったば――」
いきなり小難しいことをつらつらと述べ始めた少年に、ツグミは「――うるさいカイト! あんただっておかあさんにうみのちずのかきかたとか教えてもらってるくせになんにもむずかしいことはできないじゃない!」
「うん、だからまだ僕らには基本的なことを学ぶ時間が必要ってことをさっきから言ってるんだろう?」
「う゛」
嫌味で返したはずの言葉に、少年――カイト――の冷静な言葉がツグミの胸に突き刺さってそこで口論は終了。それでもめげずに何かを言おうとしたツグミだったが、その前に「あはははは!」という大人の女の笑い声が響いて、それも失敗に終わった。
「もう、おかあさんったらそんなにわらわなくってもいいのに!」
せめてもと、カイトとともに現れた大人の女、要するに母親へとツグミは頬を膨らませる。
「ごめんごめん、私たちの子供があんまりにも仲良さそうにしてるからつい嬉しくて」
「……ふんだ!」
やはりそっぽを向くツグミに、母親はやはり楽しそうに「みかんのタルト一緒に作ろうって思ったけど……やめとく?」
その言葉を聞くや否や、ツグミの不機嫌な顔はどこへやら。
「え!?」
という声とともに実に嬉しそうに「作る! 私も作る!」とぴょんぴょんと飛び跳ねて母親の足元へとすり寄っていく。
「そういうわけで、あんたは夕食のためにカイトとともに狩り、よろしくね」
「りょうかーい」
母親の言葉に、父親は気の抜けた笑顔で頷き、いつの間にか足元へとたどり着いていたカイトと視線を合わせて「よし、行くか」と父親らしい頼れる表情でカイトの頭に手を置いた。
「今日こそ、ウサギを狩ってやる」
カイトはカイトでやる気満々である。
ツグミと母親が家でみかんタルトを作り始め、カイトと父親が狩りのために外へと出かける。
なんともほほえましく、幸せな家庭。
それでも、いや、だからこそ。
そんな穏やかで幸せな時間は短い。
「海賊だー! 海賊が来たぞー!」
島民の、おそらくは別の村の人間の声だろう。
あまり危機感は感じられない声色だが、やはりどこか緊張感のあるような張りつめた声を落としながらもココヤシ村へと情報を流し、別の村の人間へとその情報を流しに走り去っていく。
「……行っちゃうん、だよね?」
カイトが肩を落とし、父親へと確認するかのように言う。父親は申し訳なさそうに、寂しそうに、だが笑顔で「ああ」と答え、カイトを抱えあげる。
「うわ、ちょ……何をっ」
「息子成分を充填中だ……ずっとツ
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