おまけ10話『背中』
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鉄槌!」
脇で拳の力をためて、拳をその脇から振り下ろした。いわゆる、でこぴんと同じ原理の技だ。
「ぶっ!?」
黒ひげの頭頂部に直撃。けれど、インパクトと同時にやっぱり奥の方で吸収されているような感覚。けど、そんなものはもうインペルダウンでわかってる。
どれだけ衝撃を吸収しようと――
「――正拳!」
黒ひげの腹部へと拳を突き立てる。
どれだけ黒ひげに奥の手があったとしても――
「――上段回し蹴り!」
黒ひげの顔面を蹴り飛ばす。
簡単なことだ――
「――回し打ち!」
そのの脇腹に、拳が突き刺さる。
奥の手ごと――
「――足刀蹴り!」
顎を蹴り飛ばす。
黒ひげがわずかに後方へと吹き飛んだ。
黒ひげを――
「うおっ!? 船長がやべぇぜ!?」
「吾輩に任せるであ――」
「――ハントの邪魔はさせねぇ!」
「っ火拳!?」
後ろから聞こえてくる声が、なぜか急激な熱気とともに遠ざかる。
……いや、どうだっていい。
「闇水!」
不意を衝かれた。攻撃態勢に入っていた体が吸い寄せられてバランスが崩れる。
「げほっ……いかれた力発揮しやがって! その体じゃあ、あと一撃で終わりだろうが! ええ!? ハント!」
黒ひげの拳が俺の顔面に迫る。迫ってきた拳は剛腕だ。速度もある。バランスが崩れてる今の俺じゃあわかってても受けることすら難しい。けど……いや、なら――
「魚真柔術! 合気傾国!」
――避けなければいい。
空気から相手の体に触れて、相手の重心へと作用する。バランスの柱を崩してしまえば黒ひげも攻撃態勢を保ってはいられない。
「なんだこりゃあ!?」
黒ひげの態勢が崩れて、ずっこける。吸い寄せられていた力がなくなり、けれど止まらない勢いのままに俺の拳を突き出す。
「五千枚瓦……正拳っ!」
顔面を捉えた。
黒ひげの体が、地面と平行に吹き飛んでいく。
「……はぁ……はぁ」
きっとまた俺の拳の衝撃を、ヤミヤミの能力を使って、体の奥底で飲み込むことはわかってる。けどもう黒ひげの行方を見届ける必要すらない。
たとえ黒ひげにその特殊な能力があったって、たとえ黒ひげにどれだけの秘密が隠されていたって、たとえ黒ひげがどれだけしぶとい人間だって関係ない。
なぜなら――
攻撃を加えた回数は6発。
その一度も、まだ魚真空手の本当の威力を発揮していない。
魚人空手を受け継いで、魚人空手陸式を経て、魚真空手となった今でも変わらないことがある。それは陸上においてこそ真価を発揮するということだ。
まぁ、要するに何が言いたいかというと。
お前はも
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